2014 Fiscal Year Research-status Report
職域での集団認知行動療法を活用した睡眠教育プログラムの開発と効果検証
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26671033
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
中田 ゆかり 滋賀医科大学, 医学部, 社会人入学研究者 (30647615)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 尚登 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (50166724)
角谷 寛 滋賀医科大学, 医学部, 特任教授 (90362516)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 睡眠教育 / 労働者 / 集団認知行動療法 / 携帯活動量計 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,職域における集団認知行動療法を活用した睡眠教育プログラムを開発し,通信機能付携帯活動量計を活用して,労働者の身体的・精神的健康面での効果を検証することを目的とした。 H26年度は,H27年度の睡眠教育プログラムの実施,睡眠測定に向けた準備として位置づけた。研究計画については所属大学に倫理申請を行い、承認を得た。 睡眠教育プログラムについては,睡眠健康教育に関する知識の習得を図り,また認知行動療法専門家数名よりスーパーバイズを得て,睡眠に関する基本的な習慣の修正を目的とした「睡眠衛生教育」を主軸に,行動理論を背景とした「行動療法」,認知的側面を扱う「認知療法」を加えた,約6か月間にわたって,複数回のセッションでの労働者に対する睡眠教育プログラムの開発を行った。 さらに,睡眠システムメーカーと連携しながら,通信機能付携帯活動量計を用いた睡眠状況(就寝時間,起床時間,睡眠時間,睡眠の質)や活動量を測定するための睡眠測定システムを構築した。 H27年度に睡眠教育プログラムを用いて教育を実践・睡眠測定を行うに当たり,ある企業に研究協力の依頼を行い,研究実施の同意を得,実施に向けた調整を図った。その後,同企業の2事業場に勤務する労働者(約500名)に対し,研究協力者を募った。研究に協力の意思を申し出た労働者(約80名)に対して,同意説明・取得を行った。さらに,介入・ランダム化割付を行うに当たり,大学病院医療情報ネットワーク(UMIN-CTR)に登録し,ランダムに介入群と非介入群に2群化した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度であるH26年度の計画として,①集団認知行動療法を活用した睡眠教育プログラムの開発,②通信機能付携帯活動量計を用いた睡眠測定システム構築,③研究の同意取得とランダム化割付,の3つを挙げた。 ①については,集団認知行動療法での睡眠教育プログラムを開発することとしていたが,集団認知行動療法は不眠などターゲットとする対象者の集団を対象にする必要があり,一般労働者に対しては「睡眠衛生教育」を主軸とし,一部認知行動療法の手法を用いる方が効果的であるという専門家のアドバイスにより,睡眠教育プログラムの修正を行った。 ②については,当初スマートフォンのアプリケーションを用いることとしていたが,アプリケーション開発メーカーによるAndroidとiOSの2つのOSに対応するアプリケーションの開発遅延に伴い,NFC(Near Field Communication)を用いたパソコン上でのデータ通信方法に変更した。 ③については,予定通り研究の同意取得とランダム化割付を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
H27年度は,ある企業の2事業場に勤務する労働者約80名を調査対象として,睡眠衛生教育を主軸とした睡眠教育プログラムを実施する予定である。その半年後,非介入群にも同様の睡眠教育プログラムを実施する。睡眠教育プログラム実施前後の健康状態を健康診断結果(体重,BMI,血圧,脂質,血糖)や睡眠状況を確認するための通信機能付携帯活動量計,自記式質問紙調査によりデータを収集する。 H28年度は,①各調査項目について,t検定や分散分析を用いて,先に介入した群(Group A)と非介入群(Group B)の睡眠教育プログラム介入前,介入後のデータにより2群間でのプログラム実施効果を評価する。②睡眠教育プログラム介入前と1年後(ポストデータ2回目)の全体(Group AとB)でのプログラム効果について,介入時期も踏まえ,t検定や分散分析・回帰分析を用いて検証する。③これらの結果から,より効果的な睡眠教育プログラムについて精練を行う予定である。さらに,研究公表を広く行い,協力を得たある企業の2事業所や研究協力者へのフィードバックを行う。
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Causes of Carryover |
H26年度は、H27年度から実施する睡眠教育プログラムの実施のための情報収集を目的とした学会参加費(13千円)、旅費(76千円)および睡眠状況等を把握する通信機能付携帯活動量計を含めた睡眠測定システム購入費(1300千円)のために助成金を使用した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究成果発表のための学会旅費等(800千円)、研究協力者への謝金(500千円)、論文投稿の諸経費(770千円)として使用する計画である。
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