2014 Fiscal Year Research-status Report
タイムスタディによる保健師の地域診断業務量と困難性の解明
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26671035
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
守田 孝恵 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00321860)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 忍 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 教授 (30289871)
檀原 三七子 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30432743)
宮崎 博子 宇部フロンティア大学, 看護学部, 教授 (40461355)
山崎 秀夫 常葉大学, 健康プロデュース学部, 教授 (50137022)
米澤 純子 国立保健医療科学院, その他部局等, 研究員 (50289972)
藤村 一美 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80415504)
迫山 博美 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40611059) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 公衆衛生看護 / 保健師活動 / 地域診断 / PDCAサイクル / タイムスタディ / 地域診断業務量 |
Outline of Annual Research Achievements |
保健師は、個別事例の対応を重ね、地域診断を行い地域住民が健康で生活しやすい地域づくりをめざしている。しかし、その対応は複雑な社会や家族病理の解決など複雑かつ長期に渡るものであるため、実践現場では、「地域診断」が不十分という困難性が指摘され、保健師活動指針にもその強化が示された。そこで、本研究は、保健師の「地域診断の困難性」を克服する方策を見出すために、日常業務における地域診断の「場面」と「業務時間量」をタイムスタディによって明らかにすることを研究目的とした。本年度の実績概況は以下のとおりである。
1 「地域診断」の実態調査:保健師の地域診断業務の実施状況を量的に把握した。その結果、地域診断の実施率は63%で、保健統計や事業実績をまとめる事が困難感の正体であることが考えられた。 2 タイムスタディによる保健師の日常業務における地域診断の内容と時間量:対象保健師の行動・言動と、執務人数を観察し1分単位(毎分0秒になった時点)で把握した。その結果、住民とのかかわり25%、地域への働きかけ15%、地域活動のための職場内の相談13%であった。また、執務人数の多い業務は、地域への働きかけ、個別ケースの評価検討、事業の直接的準備、事業評価と改善検討であった。 3 「保健師の日常業務における地域診断にもとづいたPDCAサイクルの展開」と教育の課題:日本公衆衛生学会総会の自由集会にて、この課題について研究成果の一部を報告し、参加者43名で地域診断とPDCAサイクルの実践と教育方法について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究の目的は、「保健師活動業務と地域診断業務の内容的構造」と「困難性因子の項目作成と因子量の測定であった。調査対象者の確保が順調であったため、十分なデータを収集することができた。健康政策学会と国際地域看護学会(予定)での発表も行っている。さらに、来年度実施予定であった「保健師活動業務量と地域診断業務量の測定」では、研究協力者を2名確保することができ、1年早い実施となった。タイムスタディの分析も順調で概略を示すことができた。2年目のH27年度は、タイムスタディのサンプルを増加させ、詳細の分析を重ねる予定である。 このような経過より、「当初の計画以上に進展している」区分に位置づけた。
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Strategy for Future Research Activity |
1)タイムスタディのサンプルを目標数に到達する。2)業務内容を「保健師活動業務」「地域診断業務」「困難性因子」に分類してコード化する。各コード毎に所要時間を算出する。困難性因子は因子の符号を付し、それぞれに要した所要時間を算出する。健康課題の重なりに留意し、活動の同時進行を明らかにする工夫を講じる。3)業務量は、業務内容のコード毎に必要な時間量と背景要因を示す。4)「地域診断業務量」と「困難性因子の時間量」の重なりに着目し分析する。5)タイムスタディ後に研究対象の保健師にインタビュー調査を行い、タイムスタディの結果をフィードバックし、分析の妥当性の検討を行う。6)各分析を包括した上で、地域診断業務量と困難性の関連について統計学的処理を行い、精神保健業務における地域診断業務量の様相と最適配分比率を推計し提示する。7)地域診断の「困難性」の克服方策について考察する。
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Causes of Carryover |
研究分担者の打ち合わせ会議について、研究分担者や協力者の都合により、当初予定していた集合会議ではなく、メール会議としたため、当初予定していた旅費と会議室借り上げの支出が不要となった。しかし、次年度は、メール会議では限界であった質的データの分析を行うため、次年度使用額が生じた。また、量的調査の対象の拡大を予定しているため、次年度使用額の増加が必要である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
タイムスタディのデータがそろった時点において、研究代表者と研究分担者、および研究協力者で構成する研究班会議の開催頻度を増やして開催予定である。そのため、旅費と会場使用料を当初予算以上に計上し使用する予定である。また、精神保健福祉活動の実態をかんがみ、当初、量的調査の対象を、保健所保健師に限定していたところを、市町村保健師にも対象を拡大する調査方法に変更する必要が生じた。そこで、次年度使用額が生じた。
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