2014 Fiscal Year Research-status Report
社会的不利環境下にある銅山労働者の自主的安全・保健予防行動の促進要因
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26671037
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
大西 眞由美 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 教授 (60315687)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 鉱山労働者 / 安全管理 / 健康管理 / 労働災害 / 健康被害 / ザンビア |
Outline of Annual Research Achievements |
【ザンビア国における鉱山労働者の安全と健康に関する現状と課題】銅山労働に係る関係機関より、本研究実施に係る情報収集を行った。Workers’ Compensation Fund(鉱山労働部門)によると、いずれかの鉱山でほぼ毎日補償の対象となるような労働災害が発生しており、インシデント件数としては20-30件の事故が発生している。最も頻繁にみられる事故は、岩盤の崩落であり、死亡以外の傷病として補償対象になるものとしては筋骨格系の被害が一般的である。 労働者の安全と健康確保については、労働省ならびに鉱山省によるInspectionの下、各鉱山企業において対策が講じられていることになっているが、大企業と中小企業では対策内容に差があることが指摘されている。2014年12月に訪問したA企業含め大企業では、年間30日程度の有給休暇の他、必要に応じて傷病休暇も保障されており、必要な治療も企業コンパウンド内の病院/診療所で無料あるいは企業保険によって受けられるシステムになっているが、中小企業の実態については不明である。 鉱山労働者を対象とした労働組合(Mineworkers Union of Zambia)には、現在、約2万人の組合員がおり、正規労働者および非正規労働者(日雇い、パートタイム等)も対象としている。労働組合では、労働省や鉱山省等との協働による労働安全に関する研修開催、労働者の労働上および生活上の各種相談に応じる等の活動を実施している。労働組合によると、労働者の疾病として問題になるのは結核とのことであった。 【ザンビア国における共同研究体制】共同研究者の所属先であるザンビア大学自然科学部ならびにコッパーベルト大学医学部と研究計画および倫理審査申請について協議を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでザンビアにおいては、HIV/AIDSならびに結核といった感染症対策および母子保健/リプロダクティブヘルスに関する研究実績は一定程度蓄積されているものの、比較的経済的に安定している鉱山労働者の安全と健康については、研究対象として注目されてこなかったために研究実績が限られている。そういった現状ではあるが、関係機関ならびにザンビア側の共同研究者らと研究計画について合意できた。特に、保健省ならびにザンビア大学医学部よりも、労働省と鉱山省、鉱山地域住民の化学物質汚染による健康被害に関する調査を実施しているザンビア大学自然科学部および鉱山(銅山)地帯にあるコッパーベルト大学医学部において、本研究テーマの重要性について共通認識を持つことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、調査実施に先立ち、倫理審査申請中であり、承認が得られ次第、データ収集を行う予定である。調査対象者として大企業勤務労働者のみならず、中小企業勤務労働者や非正規雇用労働者も含められるよう、Mineworkers’ Unionとも協力し、多様な背景をもつ労働者からデータ収集を行えるように調整をする。
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