2015 Fiscal Year Research-status Report
社会的不利環境下にある銅山労働者の自主的安全・保健予防行動の促進要因
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26671037
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
大西 眞由美 長崎大学, 医歯学総合研究科(保健学科), 教授 (60315687)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 鉱山労働者 / 安全管理 / 健康管理 / 労働災害 / 健康被害 / ザンビア |
Outline of Annual Research Achievements |
ザンビア国Copperbelt州の銅山会社に勤務する労働者に対し、無記名自記式質問紙を用い、労働条件・環境について調査を行い、76人から有効回答が得られた。男性63人(82.9%)、一人を除き全員ザンビア人であり、73人(96.1%)が中等教育以上の学歴を有していた。ザンビア全体の識字率が、男性70%、女性58%(2013年)であることを考慮すると、銅山労働者は高度な教育を受けた人材であることがうかがえる。49人(64.5%)が正規雇用職員であり、55人(72.4%)は採掘・非採掘作業員として地下労働に従事していた。地下労働に従事している者の内、正規雇用職員は67.3%であった。平均金年数は10.5年、平均月収は4139クワチャ(約45,000円)であり、地下労働者か否かによる差は認められなかった。銅山労働者の平均月収は、ザンビアの一人当たりGross National Incomeの約4分の1に相当し、国内の平均的収入を考慮するとかなり優遇されていると言える。一方、40時間/週以上勤務し、夜勤および残業もあり、また勤務時間中に1-3時間毎の定期的な休憩時間が保障されていると回答した者は28名(36.8%)、残業手当が保障されていると回答した者は47人(61.8%)であった。年間に認められている有給休暇は平均19.1日であり、平均取得有給日数は19.3日、19人(25.0%)は疾病のために有給休暇を取得したと回答した。これまでに傷病休暇取得経験がある者は38人(50%)であり、そのうち57.9%は最近6ヶ月以内に取得していた。平均傷病休暇取得日数は9.3日であり、80.0%は何らかの病気が理由であった。62人(81.6%)は、過去1年以内に健康診断の機会があったと回答した。労働条件や休暇取得について、非正規雇用職員に対しては整備されていない傾向にあった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ザンビア大学倫理審査会からの承認を得るまでに予定よりも時間を要してしまい、データ収集開始時期が当初予定よりも遅れてしまったため、2015年度中に得られたサンプル数は目標サンプル数の10%程度である。また、2015年10月以降、特に国際的な銅価格の下落により、ザンビアの銅山会社の経営状況が厳しくなり、閉山に追い込まれる銅山も出てきている。そのため、当初予定されていたMineworkers Unionによる研修会も中止される等、データ収集機会として想定していた機会が限られてしまったこともデータ収集が当初予定よりも遅れている要因である。
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Strategy for Future Research Activity |
2016年度は、Copperbelt州の他に北西部州の銅山会社勤務の労働者ならびに銅山会社付属病院来院者らにも調査対象を拡大し、目標サンプル数からのデータ収集を目指す予定である。
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Research Products
(5 results)