2016 Fiscal Year Research-status Report
乳幼児虐待予防のアセスメント指針と看護介入プログラムの開発に関する研究
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26671038
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Research Institution | Gunma Prefectural College of Health Sciences |
Principal Investigator |
大澤 真奈美 群馬県立県民健康科学大学, 看護学部, 准教授 (50331335)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶋澤 順子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (00331348)
斉藤 基 群馬県立県民健康科学大学, 看護学部, 教授 (30258884)
丸谷 美紀 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (50442075)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 乳幼児 / 虐待予防 / アセスメント / 自己評価 / 看護介入 / 保健師 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、乳幼児虐待予防の潜在リスクのアセスメント指針および母親の育児能力の形成を中核に置いた、乳幼児虐待予防の看護介入プログラムを開発することである。平成28年度は平成26・27年度に行った文献検討、保健師への調査等の結果明らかにした乳幼児虐待予防アセスメントの枠組み157項目(2015:大澤)(具体的には①母子手帳からの情報収集16項目、②問診・保健指導からの情報収集42項目、③アンケートの記載内容4項目、④母親の観察24項目、⑤子どもの身体測定や診察19項目、⑥子どもの観察27項目、⑦親子関係の観察3項目)を用いて「乳幼児虐待予防のアセメント・保健師自己評価尺度」の開発に取り組んだ。既に全国調査を終え分析をすすめている。 また同様に乳幼児虐待予防に向けた看護介入の枠組み(2016:大澤)(具体的には①母にとって看護職が信頼できる人になる、②育児への自信を持てるように家事育児の方法を伝える-母親の育児能力の形成を促す-)、③子どもとの愛着形成を促す-母親の育児能力の形成を促す-、④生活基盤を安定させる-育児を行う家庭環境を良好にする-、⑤家族関係を良好にする-育児を行う家庭環境を良好にする-、⑥アウトリーチを中心とした関わりを継続する、⑦問題状況に応じて他機関と関わる)を明らかにし、看護介入プログラムの試案を作成した。 本研究において乳幼児虐待は、育児をする母親全てに起こりえるものとしている。開発した自己評価尺度を活用することで、予防的な観点から健診等に来所した全ての母親に対し、保健師が虐待予防のアセスメントのスキル向上に役立てられる。さらにアセスメントスキルの向上により潜在的なリスクが発見された母子への支援において、今後完成予定の「看護介入プログラム」が支援の拠り所となることが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究は2つの研究、すなわち「乳幼児虐待予防のアセスメント指針の開発」および「看護介入プログラムの開発」から成っている。当初予定していたアセスメント指針の開発に関わる研究では、文献検討および保健師への調査を実施し、アセスメントの枠組み(指針)を明らかにした(2015:大澤)。しかし実際の母子健診等の現場では、アセスメント指針を活用してアセスメントスキルが向上し、確実に乳幼児虐待予防の潜在リスクの可能性のある母子を発見することが求められる。そのためアセスメント指針をもとに保健師がアセスメントスキルを具体的に向上させるための自己評価尺度の開発が追加の研究として加わった。そのため自己評価尺度の調査、分析に追加の時間が加わったため研究に予想以上の期間を費やしたため研究の進行に遅れが出た。また後者の看護介入プログラムの枠組みについては調査を終え試案を作成したが、先の自己評価尺度の研究に関わる期間を要し、アセスメント指針をもとにした保健師への面接調査が平成28年度中には終えられず、看護介入プログラムの妥当性検証のための保健師へのインタビュー調査が遅れたためである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は平成26年度~27年度までに本研究において明らかにした「乳幼児虐待予防のアセスメントの枠組み(指針)」を基にした追加の研究として、「乳幼児虐待予防のアセスメント・保健師自己評価尺度」の分析を終わらせ、乳幼児虐待予防アセスメント指針およびアセスメントスキルを保健師が自ら評価するための自己評価尺度の開発を終え、論文として公表する。また看護介入プログラムは、まだ試案の段階であることから現場の保健師へのインタビュー調査を行い、妥当性を検討後研究成果を公表、論文にする。 さらに本研究の終了後は、本研究成果を踏まえ次の研究に着手する。すなわち本研究を通して虐待予防のリスクのある母親への育児支援においては、母親との信頼関係構築を前提となり、親密かつ継続的・長期的な母親の育児能力形成を目指した支援が重要となることが明らかになった。しかし母親の中には看護職との関係性を築きにくいケースが存在し、虐待予防の支援を困難にしていた。このような母親の中には診断の有無に関わらず発達障害が危惧される母親が少なくなく、専門的に特化した支援方法の開発が必要である。従って、看護職との関係形成が難しい、発達障害が危惧される母親に対する、乳幼児虐待予防に向けた看護介入プログラムの開発に取り組む。
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Causes of Carryover |
平成28年度までの研究計画のうち、2つ目の研究である「乳幼児虐待予防に関わる看護介入プログラムの開発」において、プログラム試案の妥当性を検証するための、保健師に対するインタビュー調査が実施できなかった。そのため謝礼金等の多少の残額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は「乳幼児虐待予防に関わる看護介入プログラム」試案のインタビュー調査を現場の保健師に対して行い、謝礼として3万円(3千円×10名)程度を使用する。また調査のための交通費等のため残額を使用する予定である。
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