2015 Fiscal Year Research-status Report
高校生の化学物質過敏症高リスク群への支援に関する研究
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26671043
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Research Institution | Gunma Paz University |
Principal Investigator |
鈴木 珠水 群馬パース大学, 保健科学部, 教授 (80458471)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬醫 世志子 群馬パース大学, 保健科学部, 准教授 (10458474)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 化学物質過敏症 / 環境保健 / ライフスタイル / アレルギー / 保健指導 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究者らは、高校生の化学物質過敏症高リスク群への支援に関する方策を検討している。平成27年度は3年間の研究の2年目となる。 「化学物質過敏症高リスク群と関連因子に関する研究(平成23年度~平成25年度)」で得たデータを高校別に解析したところ、特徴的な傾向が明らかになった。高校別に生活状況は異なり、課題も異なるが、共通の課題としては「生活習慣改善」が挙げられる。高校生が進んで取り入れることができる生活習慣改善の提案が喫緊の課題である。 しかし、症状を自覚していない高校生にどのように注意喚起をしていくことが有効であるのか。生活習慣については日々、高校教諭から指導を受けていると思われるが、高校生という年代に日々の生活習慣に目を向けることは容易ではないと考えられる。また、化学物質過敏症については発症要因や診断が確立していないことから、一般の高校教諭がそういった視点から指導を行うことは困難である。 研究開始当初は、21校に高校別の解析データを返却し、返却と同時に保健主事、養護教諭などに高校生の抱える潜在的・顕在的な健康問題と化学物質に敏感である生徒との関連に関して調査を行う予定であった。しかし解析を進めていくにつれ、保健主事や養護教諭に対する啓蒙が必要なのではないかと考えるに至った。最終年度は高校教諭に対する啓蒙活動に力を注ぎたい。また、今年度は高校生が取り入れることが可能な予防活動として、研究者らが導き出した化学物質過敏症高リスク群と有意に関係のある「冷え」等に着目し、文献を検討し整理を行ってきたが、それらを踏まえ、高校生に有効な予防活動の支援を実施できればと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度の研究計画は、研究結果を高校別21校ごとに分析し、保健主事または養護教諭に高校生が抱える潜在的・顕在的な健康問題と化学物質に敏感である生徒に関して調査をする予定であった。しかし、化学物質過敏症の診断に関係する有効なバイオマーカーなどは検討段階であり、現時点では化学物質に無防備に被曝しないという予防が最大の防御であることは確実である。 調査段階で高校の養護教諭から、高校生の衣類から放たれる柔軟剤のにおいや、整髪剤や制汗剤のにおいが強く、教室にそのにおいが充満するとの情報を得たので、本学の学生に対して洗濯洗剤や柔軟剤の嗜好傾向を調査した。またそれらの嗜好は講義や講演などの指導介入により、変化が見られるのかを検討した。こうした経過から、当初の研究計画より「やや遅れている」状況となっているが、より有効な支援を模索するために必要な経過であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
高校別の21校の解析結果を高校に返却し、その結果をもとに「生活にあふれる化学物質-身体に取り入れない努力、体から出す努力(仮題)」としてリーフレットを作成し、実験的に高校生に配布してもらい、実施可能度などの検討をしていきたい。そういった調査を通じて、保健主事および養護教諭にも、化学物質高リスク群は氷山の一角である現状を理解してもらい、化学物質高リスク群に対する支援に関して共感的に対応していく礎になるのではないかと考えている。
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Causes of Carryover |
研究開始当初は、保健主事またば養護教諭に、高校生が抱える健康問題と化学物質に敏感な高校生に関して聞き取り調査を実施する予定であったが、高校生にとって生活指導をしてくれる最も身近な存在である保健主事や養護教諭への啓蒙活動を優先させる必要があると判断したため、計画に変更が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は啓蒙活動に要するリーフレット作成費、郵送費を当初の計画(研究遂行に必要な事務機器購入費、郵送作業・入力作業に伴う人件費、研究発表活動費等)に追加して計上する。
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Research Products
(1 results)