2014 Fiscal Year Annual Research Report
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26700001
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河村 彰星 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 助教 (20600117)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 数値計算 / 計算量 / 微分方程式 / 精度保証 |
Outline of Annual Research Achievements |
理論課題の一つとしていた、多項式時間よりも強い資源制約下での連続系計算量の定式化について、前年度からの研究を補完して論文にまとめ、国際会議MFCSで発表した。これは記憶領域を厳しく制約する状況(L)および高速な並列化を要求する状況(NC)についての、離散的計算における議論を連続系に適用するための数学的枠組を整備するものである。 応用課題の一つでは様々な偏微分方程式の計算量の正確な解明を目指していたが、その一歩としてポワソン方程式の複雑さを調べた。これは従来より知られていた積分の複雑さに関する議論を応用したものであり、成果を論文誌MSCSに投稿中である。また、更に微分方程式の解析を進めるための準備として、Lp空間における計算論を展開する上での理論的な課題を整理し、国際研究集会「構成性と計算可能性」で報告した。更に、複素解析函数については、函数の値そのもの以外の情報を利用して計算量の壁を回避し得ることが理論的にはわかっていたが、厳密実数計算ライブラリiRRAMの拡張という形でその実装を進め、高速化に向けた課題を整理して順次国際会議CCAおよび研究集会「証明論・計算論とその周辺」で発表した。 広く周辺分野の研究者に向けた解説として、情報処理学会アルゴリズム研究会・人工知能学会人工知能基本問題研究会の合同研究会の招待講演として、実数計算にまつわる一般的な話題や研究動向について発表を行った。 以上の採録済の論文・発表については別項参照。 また、次年度7月に東京で開催する第12回「解析学における計算可能性と計算量」国際会議(CCA 2015)の準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初より計画していた理論・応用両面の課題のうち幾つかにおいて、上述のように、成果を得て会議や研究集会で発表したほか、更なる統合・深化に向けた端緒も得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
申請時に計画していた課題のうち、上述の今年度達成したもの以外の項目に取り組む。また今年度に調べた課題のうち、Lp空間の理論的扱い及びiRRAMにおける解析接続については、それぞれ理論面・速度面での障碍も明らかになったため、それを克服する方法がないか研究を進める。
特に7月に東京で開催する国際会議CCAで、議論を深めるとともに新たな課題を発掘する。これは予てから連続系計算の計算可能性と計算量の両面に関するものとして従来から定期的に開催されてきた国際会議であるが、今回は通常の会議本体に加えて、実際的な計算量の側面に重点を置いた特集「Theory and Practice of Real Computation」を企画しており、精度保証数値計算の実装を専門とする研究者との協力を築くことを目指す。
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Causes of Carryover |
特に急ぎでない物品購入は強いて年度内に行わないことにした結果、数千円の端数が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
端数は合せて次年度になってから、国際会議開催のための物品費などとして有効活用する。
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[Presentation] Analytic functions in iRRAM2014
Author(s)
A. Kawamura, F. Steinberg and H. Thies
Organizer
Eleventh International Conference on Computability and Complexity in Analysis (CCA)
Place of Presentation
Darmstadt, Germany
Year and Date
2014-07-23