2014 Fiscal Year Annual Research Report
潜在的情報を引き出すための情報誘出技術に関する研究
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26700009
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
加藤 誠 京都大学, 情報学研究科, 特定助教 (00646911)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 情報検索 / 能動学習 / 機械学習 / 質問生成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は主に検索意図の誘出に関する問題について取り組んだ. 第一の成果として,システムにより生成された質問に答えることでクエリ修正を可能にする,会話的適合フィードバックシステムを提案した.本提案システムでは,質問応答プロセスを確率モデルによって記述し,ユーザの期待利得を最大化する質問を生成する方法を採用している.この枠組みの中では,ユーザがある質問に対して回答可能であるか,また,その質問に対してどのような回答が行われるのか,そして,その質問に回答することでどれほど検索結果を改善できるのかを推定することによって,ユーザの期待利得を算出している.シミュレーションによる実験では,有名人および飲食店検索タスクにおいて提案モデルが高い精度を達成することを明らかにした. 第二の成果として,あるエピソード情報を再検索する際に,どのような質問を行えば最も検索結果を改善できるような回答が得られるのかについて検証を行った.実験では,400名程度のユーザに対して事前にニュース記事を閲覧してもらい,その二週間後に同様の記事を検索してもらうというタスクを採用し,ユーザに4種類の異なる質問を行い,得られた回答を元にクエリ修正を行い,検索結果の改善率を測定した.実験の結果,4種類中3種類の質問に効果が見られ,有意な差は見られなかったものの,閲覧したエピソード中において「行動」に着目した質問を行った際に大きな改善が見られた. 第三の成果として,クエリ推薦と検索結果多様化の問題を同時に最適化する手法を提案し,ユーザの多様な検索意図を捉え,かつ,適切な検索結果を提示する方法を実現した. 上記,3つの成果のうち,1つは知識管理に関する難関国際会議であるCIKMにて発表済であり,1つは国内のワークショップにて発表を行っている.現在,第一と第三の成果に関して国際会議へ論文投稿を行っている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は質問回答に基づく検索意図の誘出を計画しており,実際にこの計画を達成している. 検索意図の誘出では,入力されたクエリに対して考え得る検索意図を列挙し,その中から一つに特定できる可能性が最も高く,かつ,ユーザが回答できる可能性が最も高い質問を与えユーザに提示することを目標としていた.例えば,「京都 観光」というクエリが与えられた場合には,「これまで京都に訪れたことがありますか」といった質問をユーザへ与えることで,京都の典型的な寺社に関する情報,もしくは,京都の観光地を幅広く扱ったページのどちらを欲しているのかを判定することができる. この目的を達成するために3つの要素技術,(1)コミュニティQ&Aサイトからの質問収集,(2)検索ログからの検索意図の推定,(3)刺激に対する反応容易性の推定,の確立を予定していた.これらのうち,(2)および(3)は達成しており,(1)に関してはまだ十分に達成できていないと評価している.一方で,要素技術(1)は次年度以降に取り組む課題においても開発を予定しており,また,効果的な質問に対する知見,および,クエリ推薦と検索結果多様化への統合的アプローチの提案など,本年度の計画段階では含まれていなかったものの重要な課題に対して取り組むことができたため,現在までのところ本研究計画はおおむね順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の成果を受けて,次年度では当初の計画通り,選好の誘出可能性の検証を目標として研究を行う. 選好の誘出においては,どのような刺激に対する反応が最も効果的か,また,どのような順で刺激を与えれば最適なのかを明らかにする.比較する刺激としては,質問・音・光・写真・移動物体などを想定しており,ユーザの実際の反応を元に選好推定への有効性を検証する.本目標は1年半かけて達成することを予定しており,平成27年度の前半では数々の実験を通して各刺激の誘出可能性について検証を行うことを予定している.刺激に対する反応については,心拍や表情,発声など従来用いられてきた方法から,fMRIを用いて脳情報を獲得するなどの最新の技術についても扱う準備ができている.平成27年度の後半以降では,実験において得られた知見を活かし,より効率よく選好を誘出するためのアルゴリズムについて開発を行う予定である.
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Causes of Carryover |
本年度,次年度に利用することを想定していた生体情報計測デバイスを試験的に利用した際に,期待していた精度が得られず,より高機能なデバイスが必要であることを認識した.そのため,本年度購入予定であった計算機資源を削減し,次年度以降の生体情報計測デバイス調達のための予算として確保した.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度以降において,当初購入を計画していた生体情報計測デバイスよりも高性能な機器を購入する予定である.また,それでも期待している性能が得られない場合には,実験参加者数を増やす,または,実験内容を拡充することによって,生体情報計測デバイスのノイズが大きい場合でも有意な結果が得られるようにする予定である.
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[Presentation] 経験的属性によるオブジェクト検索2015
Author(s)
内田 臣了, 山本 岳洋, 加藤 誠, 大島 裕明, 田中 克己
Organizer
第7回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム
Place of Presentation
磐梯熱海ホテル華の湯,福島県郡山市
Year and Date
2015-03-02 – 2015-03-04
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