2014 Fiscal Year Annual Research Report
地球流体シミュレーションのための多変量データ可視化手法の開発とその応用
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26700010
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
松岡 大祐 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球情報基盤センター, 技術研究員 (80543230)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 可視化 / シミュレーション / 地球科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
大規模数値シミュレーションによって生成される数値データは、データサイズが膨大であるだけでなく、そこに含まれる情報量も膨大である。本研究課題は、大規模シミュレーション結果から効率的に有益な情報を引き出し、科学的な知見へと結び付けるためのデータ可視化手法の研究開発を行い、地球科学における実現象への応用を目的としたものである。 平成26年度においては、主に3変数以上の物理量を同時に表現するための可視化手法の開発を行った。特に、多変量レイヤリングや多変量LIC(Line Integral Convolution)を地球科学データ向けに拡張し、大気や海洋の流れ場の3成分または方向を考慮した6成分の可視化に成功した。 さらに、解析者による経験や勘、視覚的な判断を取り込むことが可能な視覚的分析手法の設計およびアルゴリズム開発を行った。これは、複数の2変数散布図上で特徴的に分布する点群を手動で選択し、色を構成する色相、明度および彩度をそれぞれ割り当てることで、多変量データからの特徴抽出と可視化表現を可能にするものである。開発した手法を海洋データに応用し、海流および渦の特徴特定、分類および可視化表現に成功した。 これらの研究を推進することにより、平成28年度以降に計画している、大気、海洋、固体地球分野における実現象(台風、MJO、海流、渦、地震、津波等)を、多変量という新たな視点から理解する第一歩になると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度中に開発した可視化手法について2本の論文としてまとめ、学術誌に投稿した。また、前述の多変量データの視覚的分析手法は、当初の計画では平成27年度の1年間を充てる予定であったが、すでにアルゴリズムの開発まで終了している。これにより、平成27年度中には開発手法をより洗練させるとともに、平成28年度以降に予定している実現象への応用に早めに着手することができると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度においては、平成26年度にアルゴリズム開発を行った視覚的分析手法をインタラクティブに利用するためのツール化を行う。また、CAVEやzSpace等のバーチャルリアリティシステムを用いることで、3変数(3次元)の散布図への拡張を行う。 上述の可視化手法の開発と並行して、大気および海洋の実現象への応用を行う。大気データへの応用としては、多変量(高度、鉛直流、水蒸気量、雲水量、雲氷量等)という観点での雲(クラウドクラスタ)の抽出、分類、および追跡を行い、時間変化にともなう雲の発生、成長、消滅過程の可視化を行う。これにより、平成28年度以降に計画している、熱帯低気圧への解析につなげる。 海洋データへの応用としては、渦の特徴抽出、分類および分類結果の追跡を行う。これによって、単純な渦の時間変化を可視化するだけでなく、時間変化にともなう渦の特徴変化(渦の生成、発達、併合、分離、消滅等)のイベントのアニメーション化につなげる。
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Causes of Carryover |
購入した高速計算機の部品が当初予定より安価に購入できたため、未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
計算機の性能増強費用に充てる。
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