2014 Fiscal Year Annual Research Report
高精度観測ネットワークに基づく森林のメタン交換量とその時空間変動の解明
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26701002
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
植山 雅仁 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 助教 (60508373)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | メタン交換量 / 森林 / 微気象 / チャンバー / ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、天塩研究林サイト、山城試験地サイトの2つの国内サイトにおいてメタン交換量観測の立ち上げを行った。富士北麓フラックスリサーチサイトについては、H23年から科研費若手研究A(代表:植山雅仁)において装置を設置済みであるため、観測を継続した。 新規の測定システムを製作し国内サイト(天塩研究林サイト、山城試験地サイト)に装置を設置した。それぞれのサイトでの観測を軌道に乗せることに成功した。天塩研究林サイトについては、植物生育期間の開始にあたる5月以降のメタンフラックスの季節変化を簡易渦集積法(HREA法)及びチャンバー法により計測することが出来た。天塩研究林サイトについては、測定精度を高度化させるために、夏季に集中的にシステム改変を行った。山城サイトについては、観測システムを10月に設置し、メタンフラックスの計測を開始させることが出来た。山城サイトでは、システムの高精度化のため、1ヶ月に1回程度のメンテナンスを実施した。いずれのサイトにおいても、降雨による土壌含水率が上昇や地温の低下でメタン吸収量が低下することが初期結果として明らかとなり、これまで富士北麓サイトで得られている結果と矛盾が無いことが分かった。一方、いずれのサイトにおいてもHREA法によるCO2フラックスは、渦相関法によるCO2フラックスを過小評価する傾向があり、より高精度な観測のためにノウハウを蓄積する必要があることが分かった。 富士北麓サイトについては、メタンプロファイル観測の成果を取りまとめ、国際誌1報に掲載させることが出来た。また、国際会議で1件、国内学会で4件の発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね26年度に予定していた諸観測を滞りなく実施することに成功した。天塩研究林サイト、山城試験地サイトの両サイトに、開発したHREA法・チャンバー法・プロファイル法システムを設置することが出来、連続観測をスタートさせることが出来た。富士北麓フラックスリサーチサイトについても、これまでの観測を継続させることが出来ており、プロファイル法を用いた成果を国際論文1報に掲載させることが出来た。以上のことから、概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
富士北麓フラックスリサーチサイト, 山城試験地サイト, 天塩研究林サイトの観測を継続する。夏季に米国・アラスカに渡航し、AKサイトに観測装置を設置する。群落スケールのメタン交換量については、HREA法に加えて、近年、利用可能となってきている渦相関法の利用可能性を検討する。渦相関法については、分析計の制約から精度検証が必要な必要な段階であるといえるため、まず大きなメタン放出が期待される湿原においてその利用可能性を検討する。次年度は、渦相関法の試験として、北海道・美唄湿原においてメタン交換量の連続観測を試験的に実施する。 山城試験地サイト, 天塩研究林サイトの観測システムでは、メタン交換量に若干の過小評価が見られるため、システムの改善を行う。
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Causes of Carryover |
今年度、機器の経年劣化が少なかったため、機器の保守費用に充てていた経費を翌年の保守費用に充てることとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
富士北麓フラックスリサーチサイトに設置の機器は、経年劣化によりポンプ等一部の機器に不具合が生じているため、融雪後、これらの機器を一新させる。
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Research Products
(7 results)