2016 Fiscal Year Annual Research Report
相同組換え修復開始を導くクロマチン構造変換後のpseudo転写構造形成の解明
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26701005
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
柴田 淳史 群馬大学, その他部局等, 助教 (30707633)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | DNA修復 / Homologous recombination / NHEJ / クロマチン |
Outline of Annual Research Achievements |
放射線照射(IR)によって生じるDNA損傷の中でも、DNA二本鎖切断(DSB)は最も重篤な損傷であり、その修復の成否は細胞の生死を決める。DSBに対する修復経路はnon-hommologous end joining(NHEJ)及びhomologous recombination(HR)の2つがある。NHEJは簡略化された分子機構とそれに伴う素早い修復速度で迅速にDSBを修復する。一方でHRは姉妹染色分体必要であるためS/G2期のみで機能する。HR最大の利点はその正確な修復反応機構である。これまでの申請者らの研究から、ヒトS/G2期細胞においてIR後に用いられる主要経路はNHEJであり、HRはマイナー経路である事が分かっている。また、NHEJがDSB修復の第一選択であり、NHEJからHRへの移行、つまりHR開始点が両修復経路決定の運命を担う分岐点である事が分かってきた。本研究ではHR開始に関わる新規DNA-end resection因子を探索し、HR開始点における新モデルを提案する。またHR開始点で必要と考えられるクロマチン構造変化を導く分子を同定することで、HR開始に必要なゲノム構造変換とその分子機構を明らかにする。siRNAライブラリー及びIP-MSを用いた別々の方法により、合計5つの新規HR候補因子が見出された。これらの因子をsiRNAによりノックダウンした細胞ではRPAのリン酸化だけではなく、RAD51 foci形成の減少及びHR頻度の低下が認められた。また発見された中の因子の一つは、DSB依存的に翻訳後修飾を受け、その修飾は転写阻害剤により抑制されたことから、DSBと転写が連携しながらresectionを進行させていることが示唆された。現在はCRISPR/Cas9システムによりノックアウト細胞を作成し解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
HRに関わる新規候補遺伝子を発見しているが、これらの分子間ネットワークを繋ぐ相互作用因子または翻訳後修飾が見つかっていない。また、これらの分子はDSB部位への集積量がおそらく少ないため、従来のDSB修復分子のようにfociを形成しない。そのため、転写構造と共役するDSBを部位特異的に発生させるアッセイ系を構築する方針に変えて実験を行っているため、当初の計画よりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
新規因子の一つは、DSB依存的に翻訳後修飾を受け、その修飾は転写阻害剤により抑制された。最終年度は、候補分子5つの中から特に上記修飾分子に注力して実験を行う。また転写構造と共役するDSBを部位特異的に発生させるアッセイ系を構築することで、新規HR因子のDSB部位への制御機構を明らかにする。
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Causes of Carryover |
本研究ではDNA修復の主要経路の1つである相同組換え修復経路の開始に関わる分子機構の解明を目指している。本事業により新規修復因子を同定し、その機能解析を行っている。これら分子のDSB部位への集積を解析するための新たなアッセイ系の構築が必要となり、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
1年間の延長により、研究成果の再現、学会発表、さらに論文の掲載などの本研究計画目標を達成したいと考えている。
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Research Products
(14 results)
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[Journal Article] Mitotic catastrophe is a putative mechanism underlying the weak correlation between sensitivity to carbon and cisplatin.2017
Author(s)
Daijiro Kobayashi, Takahiro Oike, Atsushi Shibata, Atsuko Niimi, Yoshiki Kubota, Makoto Sakai, Napapat Amornwhichet, Yuya Yoshimoto, Yoshihiko Hagiwara, Yuka Kimura, Yuka Hirota, Hiro Sato, Mayu Isono, Yukari Yoshida, Takashi Kohno, Tatsuya Ohno and Takashi Nakano.
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 7
Pages: 40588
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Regulation of pairing between broken DNA-containing chromatin regions by Ku80, DNA-PKcs, ATM, and 53BP1.2017
Author(s)
Motohiro Yamauchi, Atsushi Shibata, Keiji Suzuki, Masatoshi Suzuki, Atsuko Niimi, Hisayoshi Kondo, Miwa Miura, Miyako Hirakawa, Keiko Tsujita, Shunichi Yamashita, Naoki Matsuda.
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 7
Pages: 41812
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] BRCA1 directs the repair pathway to homologous recombination by promoting 53BP1 dephosphorylation.2017
Author(s)
Mayu Isono, Atsuko Niimi, Takahiro Oike, Yoshihiko Hagiwara, Hiro Sato, Ryota Sekine, Yukari Yoshida, Shin-Ya Isobe, Chikashi Obuse, Ryotaro Nishi, Elena Petricci, Shinichiro Nakada, Takashi Nakano and Atsushi Shibata.
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Journal Title
Cell Reports
Volume: 18(2)
Pages: 520-532
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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