2015 Fiscal Year Annual Research Report
Si金属触媒焼結体を疑似廃Siモデルとしたブロモ化反応による廃Si再生法の開発
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26701016
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Research Institution | Ube National College of Technology |
Principal Investigator |
友野 和哲 宇部工業高等専門学校, 物質工学科, 准教授 (40516449)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 廃棄物再資源化 / 廃シリコン / ブロモシラン / 速度解析 / 触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
低純度シリコンから高純度シリコンを得る反応において,ハロゲン化シランからシリコンへ還元する反応(アップヒル反応)において,ブロモシランの有用性を明らかにしてきた。一方,シリコンからハロゲン化シランを生成する反応(ダウンヒル反応)においては,ブロモ系はクロロ系に比べて熱力学的に不利である。仮に,ダウンヒル反応においてクロロ系と同等の条件でブロモシランを得ることが出来れば,廃シリコンから生成できるブロモシランによるリサイクル方法を確立できる可能性が高まると考えている。ブロモシランは常温常圧で液体のため,その操作性・運搬性はクロロシランに比べ有利である。 本研究では,ダウンヒル反応であるブロモ化反応(Si+nHBr→SiH4-nBrn+(n-2)H2)において,触媒能をもつ金属成分を廃シリコンに含まれる金属不純物から選定することである。廃シリコンに含まれる金属不純物の許容不純物量を明らかにすることで,リサイクルにおける除去プロセスの簡略化が可能であり,コスト削減につながる。平成27年度では,金属不純物として代表的な鉄について,その触媒能を検討した。結果,鉄を添加することで,反応性が向上(90%以上)すること,目的物であるトリブロモシランの選択率(80%以上)が維持できることを明らかにした。また,反応速度解析を実施し,活性化エネルギー(120kJ/moL)を算出した。現在,鉄の不純物許容量を検討し,ある量以上の鉄が含まれると反応性が低下することが分かっている。また,アルミニウムは目的物であるブロモシランの純度低下につながることがわかった。鉄を添加したものでは,純度に影響を与えないことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度末に完成した流通式反応装置は,平成27年度でいくつかの改善を行い,ブロモ化反応の実施と反応前後での反応ガスの変移をオンラインガスクロマトグラフィーで追跡できることが分かった。廃シリコンには,砥粒・クーラント・金属不純物が含まれる。自身の先行研究から,リサイクルをするうえで,砥粒の除去は不要であること・クーラントの除去の必要性及び除去方法を明らかにしてきた。今回,金属不純物が触媒能を持つ予備実験を参考に,詳細な実験を行った。金属不純物として代表的な鉄に関して,鉄の有無によるブロモ化反応の反応性及び速度論解析による活性化エネルギーの算出を行った。さらに,鉄は最終的に得られるシリコン生成物の純度に影響を与えないことも分かった。一方で,反応温度は,410℃と高いため,更なる条件精査を行い反応温度の低下を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
金属不純物の代表例である鉄がブロモ化反応に対して触媒能を持つことを明らかにした。一方で,ニッケル(・アルミニウム)についてもブロモ化反応への影響を詳細に検討することで,廃棄物シリコンのリサイクルにおいて,金属除去を行う必要がなくなり,コストを抑えられると考えている。さらに,クーラントを分散する際に,アルカリ金属成分を添加していることがわかった。アルカリ金属成分についてもブロモ化反応への影響を検討していく。 ブロモシランに対する反応管への腐食性については粛々と検討を進めている。一方で,その腐食メカニズムを解明することで,ハロゲン化シランの配管の腐食抑制が可能であると考えている。
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Causes of Carryover |
反応管の腐食について検討を行うために,定期的に配管の交換を行い,反応回数と腐食の関連性を系統的に検討している。配管の交換及びSEM-EDXによる表面観察と元素分析を行う必要がある。次年度4月から使用できる予算を繰り越すことで,配管の交換とSEM-EDX分析を順調に行える。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
反応管の交換とSEM-EDX分析を順次実施する。
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Research Products
(8 results)