2015 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病患者の健やかな老いを創出・支援する介入的アルツハイマー病併発予防法の開発
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26702001
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
板垣 史郎 弘前大学, 医学部附属病院, 准教授 (00360925)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アンジオテンシン変換酵素 / 認知症 / カプトプリル |
Outline of Annual Research Achievements |
中枢移行性アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤による記憶保持亢進の機序を解明することを目的とし、中枢移行性ACE阻害剤(カプトプリル)、中枢非移行性ACE阻害剤(イミダプリル)及びアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)(ロサルタン)について、昨年度までに得られた空間認知記憶能を指標としたラットにおける記憶能と脳内ペプチドの発現の対応性について解析を行った。脳内ペプチドの検索は、HPLC法およびTOF-MS法により行った。 その結果、HPLC法による解析では、カプトプリルの濃度に依存して増加するピークが1種観察された。TOF-MS法による解析では、カプトプリル投与により特異的に発現が亢進するペプチドが多数観察された。一方その多くは質量数3,000以下であった。 TOF-MS法により検出されたペプチドの質量数は、ACEが分解するとの報告がある脳内ペプチド(アミロイドβ、LVV-ヘモフィリン-7、サブスタンスP、β-ネオエンドルフィン等)やinsulin-regulated aminopeptidase (IRAP)の基質と考えられているバゾプレッシンとは異なるものであった。 脳内にはACEやIRAP以外にも活性中心にZn2+を有するメタロプロテアーゼが存在することから,今回得られた多くの質量数は,キレート形成能を有するカプトプリルにより阻害されたメタロプロテアーゼの内在性基質の可能性がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
弘前大学医学部附属病院 臨床試験管理センター副センター長として、平成26年4月より施行された「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」に院内の臨床研究実施体制を対応させるための業務に極めて多くのエフォートをさく必要があったが、一定の知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
大学院医学研究科病態薬理学講座と共同で、ヨードトランスポーターの機能解析研究および脳血管病タイにおける遺伝子発現解析などの、アルツハイマー病をはじめとする認知症の病態に関与する可能性のある因子の分子生物学的解析を行っていく。 また、アンジオテンシンⅡは肥大化脂肪細胞の分化抑制を介し、内臓脂肪型肥満症の発症に寄与しているという仮説がある。肥満症は糖尿病の主たるリスク因子の一つである。アンジオテンシンⅡを介した内臓脂肪蓄積の機序は現在のところ明らかではないが、我々はACE阻害薬投与ラットにおいて体重減少が生じている事を確認している。以上の背景から、ACE阻害薬の内臓脂肪蓄積抑制効果の機序の解明についても検討を行っていく。
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Causes of Carryover |
弘前大学医学部附属病院 臨床試験管理センター副センター長として、平成26年4月より施行された「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」に院内の臨床研究実施体制を対応させるための業務に極めて多くのエフォートをさく必要があり、科学研究費補助金で十分に研究を遂行できたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
病態薬理学講座と共同で実施する、脳血管病態における遺伝子発現解析のための試薬購入に主に用いる予定
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