2014 Fiscal Year Annual Research Report
ペプチド栄養の根幹--生体吸収スペクトル--の完全解明
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26702002
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
伊藤 圭祐 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助教 (40580460)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ペプチド / トランスポーター / ペプチド栄養 / 機能性食品 / ハイスループットスクリーニング / Saccharomyces cerevisiae / 食品成分の吸収 / ジペプチド |
Outline of Annual Research Achievements |
ペプチド栄養の根幹は、どの部位で、どの種類のペプチドが、どの程度吸収されるか?という生体吸収スペクトルである。その分子基盤は8,400種類のジ・トリペプチドの吸収を担うペプチド輸送体の“基質多選択性”であるが、詳細は明らかではない。本研究では申請者らが開発した新規ペプチド輸送体解析システムを活用することで(*Ito et al. Nat. Commun. 2013)、ヒトペプチド輸送体の“基質多選択性”とその基質認識メカニズムを明らかとし、栄養ペプチドの生体吸収スペクトルを分子レベルで解明することを目的としている。平成26年度の研究では、出芽酵母を宿主としてhPEPT2のハイスループット解析システムを構築し、さらにジペプチドライブラリーの網羅的解析を通じ、基質多選択性を解明した。さらに、抗2型糖尿病効果が期待できる機能性ペプチドの生体吸収性についても解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ペプチド輸送体の“基質多選択性”の全貌を解明するためには、可能な限り多くの基質について、ペプチド輸送体を介した吸収性を調べる必要がある。すなわち、本研究成功のカギとなるのはハイスループットな解析システムと、膨大な基質数を網羅するライブラリーである。予算上の問題から、基質ライブラリー整備に不可欠なペプチド合成装置の導入が予定より大幅に遅れたため、基質ライブラリーの整備は未だ達成されていない。一方、ハイスループットなhPEPT2解析システムの構築に成功し、既にジペプチド337種類の網羅的解析を達成した。解析系が構築されたことで後の研究の進展がほぼ確実となったことから、現在までの達成度は「(2)おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
導入したペプチド合成装置を活用し、平成26年度に引き続き基質となるジ・トリペプチドライブラリーの整備を進めるとともに、他のペプチド輸送体についても解析システムの構築を進める。この際、ヒトに限らず真核・原核生物全般のペプチド輸送体についても解析することで、ヒトペプチド輸送体の進化的・生物学的意義を考察する。さらに、既に得られた解析データを多面的に解釈し、食品科学的・構造生物学的視点から、ヒトペプチド輸送体の“基質多選択性”の本質理解・解明を目指す。
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Research Products
(13 results)