2015 Fiscal Year Annual Research Report
ペプチド栄養の根幹--生体吸収スペクトル--の完全解明
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26702002
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
伊藤 圭祐 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助教 (40580460)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ペプチド栄養 / ペプチド輸送体 / 必須アミノ酸 / 分岐鎖アミノ酸 / 芳香族アミノ酸 / 機能性ペプチド |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究では、ペプチド栄養の根幹となるPOTファミリーのペプチド輸送体について、8,400種類の基質を認識する基質多選択性を明らかとし、ヒトペプチド輸送体はヒトが生合成できない必須アミノ酸を含有するペプチドを高親和性で認識することを明らかとした。本年度の研究では、本特性の、ヒトだけでなく他の生物種のペプチド輸送体における共通性を検証するため、5種の生物種のペプチド輸送体についてジペプチドライブラリーの解析により基質多選択性を明らかとした。解析データを基にin silicoでの基質親和性予測モデルを構築した結果、真核生物のペプチド輸送体は共通して、ヒトでの必須アミノ酸(芳香族・分岐鎖アミノ酸)の物理化学的性質を指標として基質ペプチドを認識していることが示唆された。一方、原核生物ではそのような特性は保存されていなかった。本成果はペプチド栄養の根幹としての重要な知見であるのみならず、進化過程におけるヒト必須アミノ酸の起源に迫る手がかりともなり得る。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の最終的な目標は、ペプチド栄養の根幹として重要なペプチド輸送体の基質多選択性を明らかとすることである。これまでの研究により、既にヒトペプチド輸送体PEPT2の基質多選択性の解明に成功しており、目標達成は視野に入っている。そのため現在までの達成度は「おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究から、ペプチド輸送体の基質多選択性は真核生物間で保存されている可能性が示された。今後は基質認識の詳細な分子メカニズムを明らかにするとともに、進化過程におけるヒト必須アミノ酸の出現起源との関連を探る。またモデル生物を用いてペプチド輸送体を介した高効率なペプチド吸収の栄養学的価値を解析し、食生活での実践的研究へつなげたい。さらに、多くのヒト必須アミノ酸含有ペプチドは苦味を呈することから、ペプチド栄養を活用するために、高吸収性ペプチドの摂取をサポートする苦味マスキングの方法論を開発する。
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