2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26702006
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
高根 雄也 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 環境管理研究部門, 研究員 (80711952)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 猛暑 / 局地風 / 都市 / 気候 / 多治見市 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年行なわれてきた猛暑の数値実験の結果、都市域における猛暑の発生には風上側を含む数十kmスケールでの地面状態が重要であることが示されてきた。しかしながら、国内ではこれを裏付ける地面状態の観測データが乏しいため、この結果は検証されていない。そこで本課題では、猛暑が発生しやすく、かつ地面を吹走する気流が卓越しやすい濃尾平野を対象に、風下側の猛暑に及ぼす風上側を含む数十kmスケールでの地面状態の影響を、地面状態の観測結果に基づき検証する。本課題を気候・気象研究のための地面状態観測促進の契機にすることにより、猛暑の実態把握・予測・再現精度向上、さらには、猛暑の影響評価研究に貢献することを目的とする。 濃尾平野で気象観測を行なう前段階として、濃尾平野を吹走する西寄りの山越え気流の気候学的特徴を、この西寄りの風の風下末端である多治見市の猛暑の特徴とともに調べた。その結果、濃尾平野における西寄りの風の発生確率は、22年間の統計期間の全ての日を対象とした場合は特別高いものではないが、多治見の猛暑日を対象とした場合は非常に高いことが分かった。この結果は、多治見で猛暑が発生している際に、西寄りの山越え気流が頻繁に卓越しており、そしてこの風が多治見の猛暑の発生に大きく寄与している可能性が高いことを示している。この結果をまとめ、日本地理学会で発表した。 西寄りの風と多治見の猛暑の気候学的特徴を押さえた上で、平成26年度の8月の1ヶ月間、多治見市の複数地点において土壌水分量を含む気象要素の予備観測を実施した。この予備観測のノウハウを基に、平成27年度以降の本観測を行う予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた濃尾平野における気象の予備観測を行い、テストデータを取得することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の予備観測では、多治見市の気象データを観測することに成功した。平成27年度以降は、濃尾平野の複数地点における本観測を実施する。また、設定した仮説:地表面加熱を伴うフェーンが多治見市の猛暑に寄与、を検証するため、上記の現地観測だけではなく、数値気象モデルを用いた再現実験・感度実験、さらには統計解析を進め、異なる手法から多角的に仮説を検証する。そして、結果をまとめ、学会や学術誌で発表する予定である。
|
Causes of Carryover |
当初購入する予定であった気象観測ステーションを、レンタル式測定器に置き換えるため、来年度に繰り越す。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度以降に使用する測定器の経費や旅費での使用を想定している。
|
Research Products
(1 results)