2014 Fiscal Year Annual Research Report
超高速ミー散乱増強光の多光子過程による再生医療用薬剤放出技術の研究
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26702019
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
寺川 光洋 慶應義塾大学, 理工学部, 講師 (60580090)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | レーザー医療 / フェムト秒レーザー / ドラッグデリバリー / 生分解性ポリマー |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度となる平成26年度は生分解性ポリマーカプセルからの薬剤放出の実証実験を進めた。生分解性ポリマーの分解速度はポリマーの結晶化度および表面構造により変化する。フェムト秒レーザー照射による分解速度制御を目的として、蛍光分子を内包した生分解性ポリマーカプセルを用いた実証実験に着手した。同軸二重管を使用したエマルジョン法により蛍光分子(ゲスト分子)を内包した直径10 - 80ミクロンの乳酸・グリコール酸共重合体(polylactic-co-glycolic acid, PLGA)カプセルを作製した。ガラスベースディッシュに上記カプセルを散布し、近赤外のフェムト秒レーザー (中心波長800 nm,パルス幅80 fs,繰り返し周波数1 kHz) を照射した。照射後のカプセルの形状変化を走査型電子顕微鏡 (Scanning Electron Microscope, SEM) により観察したところ、カプセル表面に微小な凹部が多数みられた。この凹部周囲にナノスケールの溶融と凝固が観察され、フェムト秒レーザーによる結晶構造の変化が示唆された。この物理を明らかにすることを目的とし、フェムト秒レーザーと生分解性ポリマーの相互作用を実験により調べたところ、照射条件によりポリマーの改質、アブレーション、ナノスケールの表面微細構造の生成が観察された。ナノ秒レーザーでは、ナノスケールの表面微細構造が生成する実験条件は得られなかった。以上より、本年度は生分解性速度を変化させる改質もしくは表面構造変化がフェムト秒レーザーにより誘起できることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施初年度の成果として、フェムト秒レーザー照射によりゲスト分子を内包した生分解性ポリマーの表面形状を変化させることができることを示したことに加え、薬剤放出に寄与する相互作用が生じることを実験的に明らかにした。複数の国際会議招待講演の依頼を受けており、当該成果が国際的に評価されていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
薬剤放出に向けて小孔形成もしくは表面改質に必要とされるレーザーパラメータと物理過程の研究を行う。具体的には、表面形状変化、結晶化度、結晶構造、熱影響を調べる。
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Research Products
(10 results)