2015 Fiscal Year Annual Research Report
口腔インターフェースによる感覚運動能力の拡張と機器制御への応用
Project/Area Number |
26702022
|
Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
三枝 亮 豊橋技術科学大学, 人間・ロボット共生リサーチセンター, 特任准教授 (80386606)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | インターフェース |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、(1)口腔内部入出力装置の改良実装、(2)口腔外部感覚運動装置の改良実装と前記の装置との連動実験を行った。本研究の目的は、口腔内に装着可能な入出力装置(口腔インターフェース)を用いてヒトの感覚運動能力を拡張し、介護機器を身体の一部のように制御するための訓練方法を介護福祉学、生体力学、神経生理学、リハビリ医学の観点から明らかにすることである。この目的において、(1)の口腔内部の運動計測方法では、加速度センサに加えてジャイロセンサを導入して並進回転運動の計測自由度を高め、各種大きさの異なる圧力センサを導入して口腔内の曲面領域の感圧でも情報入力が可能となった。また刺激提示方法では、小型振動子を空間的に配置することで、口腔内と外部機器を空間的に対応づける刺激提示が可能となった。(2)の口腔外部感覚運動装置として、移動ロボットと介護ベッドを実装して連動性を実験により検証した。本研究では、口腔部が手指と同等な高い感覚運動機能を有する点に着目しており、口腔インターフェースの利用対象者として、健常者(感覚運動機能の拡張を目的とする)と障害者(運動感覚機能の補助を目的とする)を想定している。この枠組みにおいて、移動ロボット操作は主に前者、介護ベッド操作は主に後者に対応する。移動ロボットの操作では、口腔インターフェースからの運動情報により移動ロボットの並進回転運動を制御し、移動ロボットが検知した障害物などの空間的な環境情報を感覚情報として口腔インターフェースで提示した。また介護ベッドの操作では、口腔インターフェースからの運動情報により介護ベッドのリクライニングを制御し、リクライニング斜度などのベッド状態を感覚情報として口腔インターフェースで提示した。いずれの外部感覚運動装置でも口腔インターフェースにより操作を習熟することが分かり、口腔インターフェースの有用性が示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画調書に記載したとおり、概ね順調に進展している。実際に、口腔内部入出力装置(口腔インターフェース)の改良機、口腔外部感覚運動装置(口腔外部の操作機器)の改良機、前記装置の連動システムを構築し、現在はこれらの連動性について評価検証を進めている。特に口腔インターフェースの改良機の開発により、口腔部の運動計測と刺激提示の能力が向上しつつあり、口腔部に潜在するヒトの高い感覚運動能力に対応できるようになってきたため、口腔外部の操作機器も同様に自由度を高める必要性が生じた。このために口腔部の感覚運動能力に対応した口腔外部の操作機器として、前年度に使用していた移動ロボットの後継機を新たに開発し、口腔部による操作時の安定性や自由度を高めた。また、医療介護現場において患者の自立性は非常に重要であるため、全ての患者が使用するベッド環境に絞り込んで、口腔部の感覚運動機能による生活の自立支援の枠組みを現在検証している。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、研究成果物の一般化と適用分野の拡大を目指す。口腔内部入出力装置(口腔インターフェース)の一般健常者や障害者への実利用を想定した評価実験を行う。前記の評価実験を実施するために、所属研究機関にヒトを対象とする研究計画書を提出し、ロボット等の機器を使用した対人実験に関して実施許諾を既に得ている。本研究の連携機関である病院でも実験実施の準備を進めており、その実現性は高い。医療介護分野への適用例としては、現在、ALS患者協会との協働体制作りを進めている。本研究とのマッチングが成立した場合は、進行性の運動機能不全患者のケーススタディーを蓄積する。適用分野の拡大例として、口腔インターフェースを用いた手指リハビリを検討している。リハビリ患者の身体内の感覚運動相関を用いたリハビリ手法が注目されているが、口腔インターフェースを用いれば手指と口腔の対応づけが可能となり、新療法の発見が期待される。
|
Causes of Carryover |
口腔インターフェースと連動する口腔外部感覚運動装置(口腔外部の操作機器)が、年度末を跨ぐ製作となったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
口腔インターフェースと連動する口腔外部感覚運動装置(口腔外部の操作機器)は、現時点で発注納品済み。
|