2015 Fiscal Year Annual Research Report
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26702032
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
熊代 尚記 東邦大学, 医学部, 講師 (20535207)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 非アルコール性脂肪肝 / 肝インスリン感受性 / 高分子アディポネクチン / 脂肪組織インスリン感受性 |
Outline of Annual Research Achievements |
非アルコール性脂肪肝(NAFLD)26名を対象に、生活習慣、体組成、内臓・皮下脂肪量、1H-MRS法による肝・筋細胞内脂肪量、安定同位体グルコースを用いたクランプ検査による肝・筋・脂肪組織特異的インスリン感受性、肝生検(病理診断と遺伝子発現)、血中バイオマーカー、メタボローム解析による血漿代謝産物を網羅的に検討し、肝インスリン感受性保持に関与する因子を探索した。 肝細胞内脂肪量と肝インスリン感受性には相関を認めなかった。26名のうち肝インスリン感受性上位1/3の良群と下位1/3の悪群(内因性糖産生抑制率 91.4±5.1 vs. 66.6±7.5%)を比較したところ、肝細胞内脂肪量には差がなく(各28.3±16.1 vs. 20.4±9.9%)同程度の脂肪蓄積でも肝インスリン感受性が良好に保たれている者と低下している者が存在した。全評価項目のうち肝インスリン感受性に有意に正相関するものとして、脂肪組織インスリン感受性と高分子アディポネクチンのみが挙げられ(各R=0.49, 0.44, P<0.05)、上記良群と悪群の比較でもこの2因子が良群で有意に高値を示した。一方、ALT、高感度CRP、Ⅳ型コラーゲン7s、組織のNAFLD activity scoreなどは肝インスリン感受性に関連せず、肝細胞内脂肪量と有意な正相関を示した。さらに、良群は悪群に比し糖新生遺伝子ピルビン酸カルボキシラーゼの有意な発現低下(-28%, P<0.05)と血漿クエン酸濃度の有意な上昇(149±17.4 vs. 118±19.2 μM, P<0.01)を認め、高分子アディポネクチンとクエン酸には有意な正相関を認めた(R=0.39, P<0.05)。 網羅的な解析を通し、NAFLDにおける肝インスリン感受性保持に脂肪組織インスリン感受性と高分子アディポネクチンの重要性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初2年間でエントリーを済ませて、検査を全て終わらせて、解析に入り、メカニズムの検討ためのマウスでの検討に入る予定であった。 その予定通り、検査を全て終わらせて、解析をしている最中で、本解析の結果から、今後どのように研究を進めるか検討を重ねられる予定である。 どのようなマウスモデルを扱うかはまだ未定であるが、今年度中には着手できそうなので、おおむね順調とした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、まずは肝臓について脂肪と共存できる条件・因子を同定する。そして、筋肉についても脂肪が同程度たまりながらもインスリン感受性が良好なヒトと不良なヒトの特徴の違いを検討して、脂肪と共存できる条件・因子を同定する。 その後、それらの因子を調節する遺伝子についてマウスで過剰発現モデルや発現抑制モデルを用いて検討する。 さらに、今回の横断研究から得られた知見を縦断観察研究で検証する。
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