2016 Fiscal Year Research-status Report
19世紀前半のイギリスにおける功利主義思想の展開――理論と実践の相克――
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26704002
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
川名 雄一郎 早稲田大学, 高等研究所, 准教授(任期付) (20595920)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 功利主義 / グロート / ミル / モールズワース |
Outline of Annual Research Achievements |
ジョージ・グロートについて、昨年度に引き続いて、ブリティッシュ・ライブラリーのグロート文書の詳細な分析を進めた(資料の収集・整理は前年度におこなったものである)。とりわけ、グロートの思想をジェイムズ・ミルおよびジェレミー・ベンサムの思想と比較するとともに、グロートが両者からどのような思想的影響を受けていたかを、これまでの研究史上の解釈を再検討しながら一次資料に基いて分析した。この作業については、次年度にも引き続き行い、最終的に次年度中に論文としてまとめたいと考えている。 ジョン・スチュアート・ミルについて、その社会政治思想に関するこれまでの研究成果を英語単著としてまとめた(出版スケジュールが遅れており、公刊は次年度になる予定である)。また、ミルの著作の翻訳をおこなった(公刊は次年度)。 ウィリアム・モールズワースについて。ホッブズ著作集の編集・刊行という重要な事業をはじめとして彼の知的営為の全体像を明らかにするための研究をおこなった。とりわけ、ホッブズへの関心に象徴される哲学的関心と改革派政治家としての実践活動とを関連づけながら分析するとともに、哲学的急進派の中での位置づけを分析した。また、19世紀イギリスにおける「ホッブズ・リバイバル」にモールズワースをはじめとする哲学的急進派が果たした役割を明らかにするための研究を行った。これらの研究についてはまだ成果として公表する段階ではなく、次年度も引き続き作業をおこなっていく必要がある。 研究課題である功利主義思想関連する研究書の翻訳をおこなった(こちらも公刊は来年度になる予定である)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究資料の収集・整理および検討作業自体は順調にすすめてきている。しかし、資料の分析を進める中で個々の論点の検討の進め方について変更を加えたために、論文や学会発表などによる研究成果のとりまとめ作業がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度にあたる次年度は、遅れている成果のとりまとめ作業に重点を置いて研究をおこなっていく予定である。
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Causes of Carryover |
研究資料の閲覧・収集のための国外旅費を計上していたが、先方機関の好意によって電子化資料の提供を受けることができた。そのため国外旅費支出の必要がなくなったために、本補助金の余剰が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度の余剰金については、次年度のものと合わせて、次年度夏に予定している研究情報交換のための国外旅行のために用いる予定である。
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Research Products
(1 results)