2014 Fiscal Year Research-status Report
中国古筝の楽器改良における日本伝統技術の活用に関する実践的研究
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26704003
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
毛 Y 東京藝術大学, 音楽学部, 講師 (00535552)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 中国古筝 / 楽器改良 / 転調 / 日本伝統技術 / 日本:中国 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度に実施した研究の成果は主に次の事項である。 ①本研究に生じる知的財産権及び著作権への保護義務を果たすため、研究代表者である私は製作担当の研究協力者である日本側みつや琴製造株式会社と中国側上海民族楽器一廠と、必要な誓約書を交わした。本研究の目的は、中国古筝のこれまで解決できなかった楽器上の難点である「転調」(調子を自在に変えられない)問題を、日本の伝統技術で解決する事である。しかしこの試案には、音のデザインと言った無形な知的財産権をはじめ、両国にとって楽器製作現場における技術秘密が深く関わっているので、本研究を順調に実施するためには、なによりまず互いに誓約書を交わす事が最重要で不可欠であると判断した。 ②交付申請書に記載した計画通りで、予備研究で行なった日本製従来型の古筝に対して音響測定を行なった。その結果、音色の改善効果がデータの可視化は予想以上に一目瞭然であった。従って、本研究の試案作品の製作基準と方向性がより明白となった。 ③上記測定データに基づき、本研究の試作品本体の各細部の寸法を再検討し、新たな設計図を本体製作担当の研究協力者であるみつや琴製造株式会社に提出し、本研究試作品の製作に踏み切った。 ④作曲家に曲作りを依頼した。本研究は楽器を作るという実践的研究であるため、最終的なこの試案の実用性があるかどうかの研究成果発表の形は、研究代表者が自らの試演いわばコンサートという形にしなければならない。そのため、まず本研究の試作品のための試演曲を必要とし、またそれについて練習する時間を要するため、本来三年目に行う予定の曲作り依頼を初年度に繰り上げた方が、スケジュール的により確実に推移できると判断した。 ⑤本格的な製作を行う二年度目のスケジュールをスムーズに進めるため、初年度に本研究における楽器付属品(箏柱)製作に必要な木材などの相場を調査し、在庫を確保した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度で実際に実施した研究スケジュールは、交付申請書に記載した「研究計画」とほぼ予定通りである。ただし調整した部分は2点がある。①本研究における知的財産権などに関する紛糾が生じないよう、誓約書の締結を日程に加えた。②そのため、製作の踏み切った時期を半年ほど繰り下げた。③その代わりに、本来三年目に予定した試演曲の作曲依頼を初年度に繰り上げた。こうした調整によって、本研究はより確実で順調に進める事ができると判断する。 よって、初年度の研究目的達成度についての点検は、「おおむね順調に進展している」と評価できると判断し、交付申請書に記載した「研究の目的」を予定通り達成する見通しである。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の今後の推進方策は、ほぼ交付申請書に記載した「研究計画・方法」に沿って実施する。ただ、初年度に製作の踏み入り時期を繰り下げた分、二年度目は予定よりさらに製作に伴う、調整や音響テストの回数を増やす事が予想される。
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Causes of Carryover |
研究開始後、必要に応じてスケジュールを再調整したところ、初年度に製作の踏み切った時期を繰り下げた分、二年度目は交付申請書に記載した計画予定より、さらに楽器本体の製作に伴い、中国現地に赴き付属品である絃の製作・調整(日本ではその技術はない)回数を増やす事が予想され、そのための海外出張費用が予定より増額する見通しである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
予定より二年度目に予より増やした中国への出張費用及び特許申請料に充当予定する。
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