2015 Fiscal Year Research-status Report
アジア地域史研究資源としてのポルトガル編年史料典籍とモンスーン文書の研究
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26704007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡 美穂子 東京大学, 史料編纂所, 助教 (30361653)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 南蛮貿易 / 近世初頭の外交問題 / ポルトガル / スペイン / 海域アジア史 / モンスーン文書 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、2014年度に締結された史料編纂所とポルトガル国立文書館との学術協定に基づいて、ポルトガル国立文書館から提供された≪モンスーン文書≫62巻(画像数約4万5000点)と、昨年同文書館に包摂された海外領土史料館の日本関係史料のデジタル画像(画像数約14000点)の整理をおこなった。とくに日本関係の情報が含まれる文書の精読をおこない、今後訳出して刊行する対象となる史料を選別した。 また研究成果を国内外の学会において積極的に発表することに努め、ポルトガルの国際学会において10月、3月と2回の研究報告(英語)をおこない、国内の大規模なシンポジウム・学会報告を4回(日本語)、セミクローズドの研究会報告(日本語)を2回おこなった。そのうち、長崎県平戸市におけるシンポジウム≪国際フォーラム「キリシタンの世紀と世界遺産」≫は、平戸市との共催で、ポルトガルから日葡関係史の権威であるジョアン・パウロ・オリベイラ・エ・コスタ氏を本研究費で招聘し、長崎県内のキリシタン文化、東西交渉の痕跡等について、欧文史料からの研究成果を一般市民に広く分かり易く解説していただいた。 本年とくに力を注いだのは、近世初頭の日本と東アジア・東南アジアの外交上の諸問題の解明であり、この研究において、中世後期から近世初頭の東アジア海域をめぐる、西欧勢力の参入で生じた変化あるいはそれ以前からの連続性、日本人が海外で巻き込まれた抗争などについて、詳しい考察をおこなうことができた。成果は11月の東洋史研究会大会報告で披露され、論文として次年度にまとめられる予定である。 またこれまでの研究成果をまとめた英文著書を刊行する予定であり、そのための校閲・翻訳謝金が必要となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現時点で、4年間のプロジェクト計画のうち半分が過ぎたが、当初の1年目は出産・育児のため、思うように研究を進められなかった感がある。 本研究課題の最終的な成果は、ポルトガル語史料を可能な限り訳出して、日本史・アジア史研究の材料として資することであるが、翻訳作業にはまとまった時間が必要であり、現状としてこれらの史料の有益性をアピールする研究報告・論文発表に時間が割かれているため、思うような翻訳成果が出せていないと感じている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終的な成果を公刊することができるよう、翻訳作業を進めることに重点を置く。また英文著書の刊行を準備中である。
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Causes of Carryover |
翻訳・校閲謝金として用意していたものに関し、実際の出来上がり量が当初の予定より少なかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
継続して翻訳作業をお願いしているので、翻訳・校閲謝金として使用する。
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Research Products
(10 results)