2014 Fiscal Year Research-status Report
オーストラリア型多文化主義の変容と移民エスニック空間の形成に関する研究
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26704010
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
阿部 亮吾 愛知教育大学, 教育学部, 講師 (10509144)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | オーストラリア / 多文化主義 / シドニー大都市圏 / メルボルン大都市圏 / 移民エスニック空間 / 移民・難民定住支援 / フィリピン系移民 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、多文化化・多民族化が進むオーストラリアにおいて、多文化主義の施策・制度的実践やその言説と、移民の組織化や移民エスニック空間の形成過程とのあいだにいかなる相互関係が見受けられるのか、そのメカニズムを解明することにある。具体的には、オーストラリアのなかでも「海外生まれ移民」(移民第一世代)が集住するシドニー大都市圏(Greater Sydney)とメルボルン大都市圏(Greater Melbourne)を対象地域にして、①移民・難民定住支援組織としてのMigrant Resource Centre(MRC)の活動や役割を明らかにするともに、②フィリピン系移民の組織化と移民エスニック空間の形成過程の実態調査を行うという研究計画である。 平成26年度には、シドニー大都市圏にしぼって以下の現地調査を行った。まずは、シドニー大都市圏西部郊外のBlacktown市を拠点に活動するフィリピン系移民団体のひとつを訪問し、活動内容に対する聞き取り調査を実施した。また、大都市圏内のMRCが立地する都市環境を巡検するなかで、同じく西部郊外のFairfield市に設立されたMRCを訪問し、活動内容の聞き取り調査を行った。そのなかでは、近年の政府による助成金削減に直面し、MRCもターゲット・グループ(特定の移民)や活動空間、活動内容を限定しながら、効率的に移民・難民定住支援を実施しなければならない現状が垣間見られた。その他、当初の予定にはなかったが、大都市圏内で特に移民が集住する複数の自治体をフィールドワークし、オーストラリアの多文化・多民族的都市空間の様相を把握した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では、平成26年度中に半分程度のMRCに調査を実施する予定であったが、そこまでには至らなかった。また、自治体国際化協会シドニー事務所に対する聞き取り調査も、担当者との都合が合わず達成できなかった。最たる原因は、学内業務との折り合いで、オーストラリアへの渡航が年度末の1回になってしまった点にある。そのため、その1回が予備調査となってしまい、より詳細な調査にまで踏み込めなかった。積み残した課題は合わせて次年度にクリアする予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の平成26年度計画からするとやや遅れが生じているため、平成27年度中には積み残した課題も含めて、精力的に進める予定である。具体的には、シドニー大都市圏内の全MRCに対する調査と、フィリピン系移民団体への実態調査を完了させたい。そのうえで、平成28年度以降はメルボルン大都市圏に対象地域を移す予定である。
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Causes of Carryover |
当初計画において、平成26年度中に2回予定していた渡航が1回になったことで、渡航費用ならびに人件費・謝金に余剰が生じてしまった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度には、1回あたりの渡航期間(調査滞在期間)を長めにとることで、次年度使用額を当てる予定である。
(具体的な使用計画)①現地調査(シドニー)にかかる旅費(ならびに滞在費)・人件費、②現地調査にかかる物品等の購入、③研究用文献・資料等の購入、④学会参加にかかる旅費(ならびに滞在費)などに使用する。
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Research Products
(5 results)