2016 Fiscal Year Research-status Report
オーストラリア型多文化主義の変容と移民エスニック空間の形成に関する研究
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26704010
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
阿部 亮吾 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (10509144)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | オーストラリア / 多文化主義 / シドニー大都市圏 / メルボルン大都市圏 / 移民エスニック空間 / 移民・難民定住支援 / フィリピン系移民 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、多文化・多民族化が進むオーストラリア社会において、オーストラリア型多文化主義政策の制度的実践(特に、移民・難民定住支援機関(Migrant Resource Centre(MRC)))と移民の組織化ならびに移民エスニック空間の形成とのあいだに、いかなる関係性(メカニズム)が存在するのかを、在豪フィリピン系移民を事例に明らかにすることである。対象地域は、オーストラリアでも移民人口の集中するシドニー大都市圏(Sydeny Metropolitan area)とメルボルン大都市圏(Melbourne Metropolitan area)とする。 平成28年度には、これまでのシドニーに加えてメルボルンでのフィールドワークを開始した。9月にはメルボルンで予備調査(主に、都心と郊外のエスニック・セグリゲーションの景観観察)を行うとともに、現地フィリピン系移民団体の複数のキーパーソンに対して聞き取り調査を行った。3月には引き続きメルボルンでフィリピン系移民団体の調査とMRCに関する情報収集を行い、シドニー大都市圏でも同様に補足調査を行った。 その結果、両大都市圏における2000年代以降のフィリピン系移民の組織化のおおよその潮流と、かれらの形成する移民エスニック空間の特徴が明らかになり、また両大都市圏の地域差も示唆された。しかしながら一方で、ある程度自立した強固なco-ethnic基盤をもつフィリピン系移民は、MRCの積極的な支援・協働対象にはなっていないという現状も分かってきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度までの調査結果に加え、平成28年度ではメルボルン大都市圏でも調査を開始し、移民・難民定住支援機関(Migrant Resource Centre(MRC))の情報収集を行ったり一部聞き取り調査も実施した。また、フィリピン系移民団体については、両大都市圏でそれぞれ複数のキーパーソンに対してアンケート形式で聞き取り調査を実施できた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度の平成29年度では、移民・難民定住支援機関(Migrant Resource Centre(MRC))に関する資料・情報の補足調査を終えるとともに、シドニー/メルボルン大都市圏においてフィリピン系移民団体のメンバーに対する聞き取り調査の量を増やす予定である。9~3月間に渡豪を計画している。
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Causes of Carryover |
当該年度における単年度予算分は当初の計画通りほぼ消化されたが、旅費の支出が予想より抑えられたことにより、次年度への繰り越しが生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度でも、シドニーならびにメルボルンへ聞き取り調査のために長めの滞在を2度計画しており、これに充てる。
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Research Products
(4 results)