2014 Fiscal Year Annual Research Report
日本国内の民族学博物館資料を用いた知の共有と継承に関する文化人類学的研究
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26704012
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
伊藤 敦規 国立民族学博物館, 研究戦略センター, 助教 (50610317)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 民族誌資料 / 熟覧 / 協働 / 博物館 / 文化人類学 / 先住民 / 知的財産 / ソースコミュニティ |
Outline of Annual Research Achievements |
国立民族学博物館が所蔵する米国南西部先住民ホピが制作した木彫人形資料約300体のphotoVR制作を行った。PhotoVR制作では、まず立体資料を0度、30度、60度、90度角においてそれぞれ全周を水平に36分割し静止画を撮影する。それに底面写真を加え、145枚一組のファイルとして加工することで、資料をPC等のモニター上でハンドリングしているように操作することを可能とする(バーチャルリアリティ化)。本研究では①ソースコミュニティ(SC)からの招聘を基にした日本国内の博物館での熟覧と、②日本に招聘できなかった人々を対象にした現地での擬似熟覧が必須となる。この②を円滑に行うためにphotoVRのための撮影と加工を初年度に行った。 10月には計画通りにSCから招聘し、資料熟覧に関する国際ワークショップ(Collection Review: Methodology and Effective Utilization for the Museum and the Source Community)を国立民族学博物館で開催した。別の財源によって招聘した博物館関係の研究者(日本、米国、スコットランド)とともに資料熟覧に関する方法論を議論した後、実際にホピの人々による資料の熟覧を行った。その過程全ては映像記録化した。招聘期間は土日祝日を含む2週間であり、この間に約140点の熟覧が終了した。SCの帰国後は熟覧時の文字起こしと言語のチェック、日本語への翻訳作業を進めた。一部は日本語字幕付きの公開用動画資料としてほぼ完成した。 また、平成27年度に実施予定のリトルワールド(愛知県犬山市)へのSCの派遣について平成27年1月にリトルワールドにて学芸員と打ち合わせを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに実施している。
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Strategy for Future Research Activity |
国立民族学博物館の所蔵資料の資料熟覧のために平成27年4月に再びSCを招聘する。また10月に3度目となる招聘を行い、国立民族学博物館だけではなくリトルワールド(愛知県犬山市)と天理参考館(奈良県天理市)での熟覧を実施する。招聘期間以外は熟覧時の文字起こし、翻訳、字幕入れなどの動画編集を進める。また、現地での報告会を行い、招聘できなかったSCの人々との情報共有に努める。 本研究で資料の熟覧を行ってもらう招聘者は大学等研究機関に所属する研究者ではない。招聘時期の決定については、SCでの農作物の収穫時期や儀礼実施期との重複を避けるように配慮した。しかしそれだけではなく招聘者本人やその家族などの健康状態によって来日可能時期が変動する。そのため当初計画した内容に対してより頻繁にコミュニケーションをとり、招聘期間中のヘルスケアのサポートを可能な限り行うなど、繊細な心遣いを心がけた。招聘を伴う研究の実施の際は、このような配慮が不可欠で非常に重要であることが再確認された。
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Causes of Carryover |
研究計画書に記したように、SCの招聘は10月と4月の年間2回を予定している。4月初旬は年度初めの月で科研費補助金の交付申請が確定しない。そのため4月初旬に予定している招聘者の旅費を確保するため基金の一部を翌年度に繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年4月に米国南西部先住民ホピの熟覧者一名を招聘して、国立民族学博物館にて資料の熟覧を実施する。
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[Presentation] Reconnect Museum and Source Community2014
Author(s)
Robert Breunig, Kelley Hays-Gilpin, Atsunori Ito
Organizer
Minpaku International Workshop Collection Review: Methodology and Effective Utilization for the Museum and the Source Community
Place of Presentation
National Museum of Ethnology
Year and Date
2014-10-05 – 2014-10-05
Invited
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