2015 Fiscal Year Research-status Report
近代学校教育草創期のブータンにおける学校教育及び留学事情の包括的解明
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26705011
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
平山 雄大 早稲田大学, 平山郁夫記念ボランティアセンター, 助教 (80710649)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 教育学 / 近代学校教育史 / 季節移動 / 留学 / ブータン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ブータン教育研究の対象時期から疎外され、まとまった研究成果物が提出されていない近代学校教育草創期=「少数精鋭のエリート教育」が実施されていた1910~1940年代の約40年間に着目し、当時のブータン国内における学校教育事情、及び隣国インドへの留学事情を明らかにすることを目的としている。 2年目となる2015年度は、イギリス人のシッキム政務官が残した記録写真、映像、年次報告書、訪問報告書、及び初代国王や第2代国王の書簡をはじめとした各種史資料の分析を継続的に行うと同時に、ハに位置するゴンジム・ウゲン・ドルジ高等学校の校庭に設立された仏塔の碑文の解析を行った。 研究の結果、インドのカリンポンへ留学した少年たちと「ハの学校」の第1期生は同一人物を指していることが明らかになった。また、少なくとも近代学校教育開始最初期には「ハの学校」は年間を通して開校していたわけではなく、留学した少年らがブータンに帰国している夏に学ぶ場として機能していたこと、「ブムタンの学校」も季節移動を繰り返していた王家に付き従って場所を変える移動式の学校であったことが判明した。加えて、「ハの学校」の第1期生に関して、大学入学資格試験の合格者はデヘラードゥーンの森林学校、カルカッタ近郊シブプールのベンガル工科カレッジ、同じくカルカッタのベンガル獣医カレッジ、キャンベル医学学校、バーガルプルの教員養成校といったインド北部・東部に位置する高等教育機関へ進学し、それぞれ森林保護官、鉱山技術者、獣医補佐、外科医補佐、教員になるために学業を続けていたこと、大学入学資格試験に合格していない者も、シロンのグルカ連隊に所属し軍事訓練を受けたり、パラミュでラック養殖の実用訓練を受けたり、カリンポンの病院で調合師となる訓練を受けたりしていたことが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書の「研究目的」に記した本研究の具体的な目標・課題に関して、2年目(2015年度)に実施予定であった【近代学校教育草創期の学校教育事情及び留学事情の解明】及び【学校教育及び留学事情の実証的解明・比較分析】の一部については、おおむね順調に進展している。ただし、ダージリンにおける調査は諸事情によりいまだ実施できておらず、来年度以降、カリンポンにおける追加調査と併せて行いたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、文献収集・調査は2016年度以降も引き続き実施し、ブータン及び周辺諸地域の当時の政治・社会状況及び教育事情の把握に努める。面接調査に関しては、ブータン国内(ハ及びブムタン)及びインド(カリンポン及びダージリン)にて実施し、得られた情報をもとに比較分析を行う。
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Causes of Carryover |
予定していた現地調査を諸事情により実施しなかったため、次年度使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額及び翌年度分として請求した助成金の一部を使用し、ブータン及びインド・西ベンガル州における調査を行う予定である。
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Research Products
(3 results)