2015 Fiscal Year Annual Research Report
テラヘルツ電磁波による単一電子・スピン伝導ダイナミクスの制御と情報機能の創製
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26706002
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| Research Institution | Tohoku Institute of Technology |
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Principal Investigator |
柴田 憲治 東北工業大学, 工学部, 准教授 (00436578)
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| Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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| Keywords | 量子ドット / テラヘルツ波 / トンネル効果 / トランジスタ |
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| Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、「THz光源とTHz応答測定系の整備・構築」を行い、前年度までに作製したトランジスタ試料のTHz光照射下での物性評価を中心とした研究を行った。高強度のTHz電磁波照射に必要な波長可変炭酸ガスレーザーを購入・整備し、遠赤外線レーザーを実現するための環境を整えた。同時に、素子のテラヘルツ応答観測のための測定系の整備を進めた。
同時に、広帯域のテラヘルツ電磁波を量子ドットトランジスタに照射することで、単一量子ドットのテラヘルツ分光を行い、単一電子のテラヘルツキャリアダイナミクスの評価に関する研究を進めた。まず、単一量子ドットに対するテラヘルツ分光の手法によって、ドット内の多体電子相関反映したエネルギー準位を観測することに成功し、それを伝導特性の結果と比較・解析することにより、両者が極めて良い一致を示すことを明らかにした。更に、単一量子ドットにおけるテラヘルツ波による発電現象を観測し、そのメカニズムを明らかにした。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
量子ドットトランジスタ試料の作製に関しては引き続き安定的に継続して取り組んでいる。THz光源の整備・構築については多少苦労している状況であるが、測定系の整備に関しては着実に進んでいる。一方で、本年度では、前年度に開発した単一量子ドットのテラヘルツ分光手法を用いた単一量子ドット中の単一電子のテラヘルツキャリアダイナミクスの評価に関する研究に大きな進展があった。以上を総合的に評価すると、本年度の研究によってテラヘルツ波照射下での単一ドット中の電子のキャリアダイナミクスに関する知見が数多く得られたことから、本研究は「おおむねに進展している」と考えられる。
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| Strategy for Future Research Activity |
今後は、それまでに作製・評価した素子と構築されつつあるTHz応答測定系を用いて、「単一量子ドットのTHz分光、THz電磁波を用いた単一電荷・スピン伝導の制御」に関する実験を行う。特に、THz帯での二重結合QD構造における電子やスピン状態のコヒーレント制御による量子ビット操作や、強磁性電極と結合した単一QDを用いた選択的なスピン励起とその検出などを試みる。以上により、単一電子やスピンによって動作する次世代量子情報素子のデモンストレーションをTHｚ帯で初めて行うと同時に、未開拓の電磁波であるTHz電磁波の量子情報処理やスピントロニクスへの応用に新たな道を示す。
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| Causes of Carryover |
本年度は単一量子ドット素子のテラヘルツ分光の研究において大きな成果が得られた一方で、単色テラヘルツ光源の整備に若干の問題が出て遅れが生じた。この部分に関して、研究の進捗状況に応じてより効率的な光源の整備に必要な機器の選択を慎重に行うこととしたため、結果的に今年度に200万円弱の繰越金が発生した。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
今回、来年度に繰り越した研究費は高強度テラヘルツ光源系の構築とテラヘルツ光を量子ドットトランジスタに照射するための光学系の整備に用いる予定である。
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