2014 Fiscal Year Annual Research Report
対称性の破れ構造をもつプラズモニックナノシェルの精密構造制御と光デバイス応用
Project/Area Number |
26706004
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
是津 信行 信州大学, 学術研究院工学系, 准教授 (10432519)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | プラズモニクス / プラズマ加工 / 自己組織化 / 化学センサー / ナノ粒子 / イオン液体 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】イオン液体薄膜をプラズマ加工に対する動的エッチングマスクとして用いることで,球状ナノ粒子の対称性を崩した「対称性の破れ構造」をもつプラズモニックアレイの作製とそのプラズモンセンサーへの応用を目的とした。 【平成26年度の実施計画】①ナノコーンアレイの抗原抗体反応の検出感度測定②中心角の異なるナノコーンアレイの作製 【研究成果】研究は概ね計画通り進んでいる。①1-ethyl-3-methylimidazolium tetrafluoroborate(EMT)超薄膜をエッチングマスクに用いて自己組織化ポリスチレン(PS)ナノ粒子単層膜をプラズマ加工した結果,上に凸の円錐形状したPSナノ粒子アレイを作製することができた。この上に金(Au)超薄膜を成膜し,PS@Auナノ粒子アレイを得た。消光スペクトルからは,ナノ粒子アレイは約700nmと800nmに極大プラズモン共鳴波長を示し,狙い通り近赤外領域の光と共鳴するプラズモニックアレイを作製することができた。誘電率の異なる溶媒を用いて,ナノ粒子アレイの誘電率応答性を評価した結果,500nm/RIUの値を示した。筆者は,昨年度までにナノ粒子間のギャッププラズモンを用いることで290nm/RIUの誘電率応答性を実現しており,そのときの抗原抗体反応検出感度は10aM相当であった。10aMは世界最高感度であり,今回の結果はこれを大きく上回る結果であった。抗原抗体反応を用いた検出感度測定は現在も継続してすすめており,H27年度7月中旬を目途に結果がでる予定である。②ポリスチレンナノ粒子に微量のトルエンを吸収させ,膨潤したナノ粒子をドライフリーズすることで,上に凹の形をしたお椀型のPS@Auナノ粒子アレイを作製することができた。これは当初想定していなかった結果であり,お椀の円周に沿って共鳴するプラズモンによりさらに高感度な検出が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H26年度は主に2つの課題に取り組んだ。うち1つ目の課題は予測していた通り,過去に例のない特徴のあるナノ加工の具現化,ならびに得られたプラズモニックナノシェルアレイの高感度化を達成した。H27年度の上期中に論文化できる予定である。一方,2つ目の課題は当初想定していなかった結果が得られた。プラズモン共鳴に適した理想のお椀型のプラズモニックナノシェルアレイを形成できる見込みが得られた。お椀の円周に沿って共鳴するプラズモンによって,さらに高感度な検出が期待できる。以上を踏まえ,概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
①EMT超薄膜をエッチングマスクに用いて作製した凸の円錐形状したPS@Auナノシェルアレイの抗原抗体反応検出を7月中旬目途にすすめる。この結果をもって論文化する予定である。②当初の計画通り,既存のプラズマ装置を加工して,電極間に直流を印加できる仕組みを導入し,EMTへの電圧印加によるイオン液体の粘性変化を誘導することで,中心角の異なる円錐型PS@Auプラズモニックナノシェルアレイ作製を検討する。さらに,H26年度に見出したお椀型PS@Auナノ粒子アレイの光学特性ならびに誘電率応答性を調べ,1000nm/RIU達成を見据えた技術の開発をすすめる。
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Research Products
(1 results)