2014 Fiscal Year Annual Research Report
ゲート周辺ダメージ層除去プラズマレス低速平滑エッチング技術開発とメカニズム解明
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26706022
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田嶋 聡美 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50537941)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ケミカルドライエッチング / 低速エッチング / プラズマダメージ除去 / ゲート周辺 / 半導体加工 / 密度汎関数法 / 表面反応 / nmスケール |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、次世代LSIデバイスの性能を左右する5-20 nmのゲート周辺プラズマエッチング後のダメージ層除去を行うための新規低速平滑ケミカルエッチング技術を開発し、表面反応の機序を明らかにすることである。H26年度はF2 + NOx (X =1, 2) -> F +FNOxの反応の反応速度係数がなぜNO2を用いた場合NOに比べ低い理由をステレオケミストリーという概念を導入して密度汎関数法を用いて明らかにした。また、NO2を用いた場合、最低速度 6 nm/minの低速エッチングができることを実証した。再現性の高いプロセスを確立するためには、NO2を利用した場合チャンバー内が低温(< 100℃)だと2NO2 ⇔N2O4の反応が起こるため、チャンバーの温度管理がNOを利用した場合に比べ厳密に行う必要があることが分かった。さらに膜厚計を用いたダメージ層除去の可否の判定、In-situ気相・表面計測装置の組み立て、赤外分光法(FTIR)による排気ラインでの副生成物の計測を行った。H26年度にIn-situチャンバー用新規ガス供給設備の設計・製作がほぼ完成した。論文発表1件、学会発表10件(うち招待講演4件)、特許出願1件、社会貢献(サイエンスカフェ、オープンレクチャー)3件を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は、気相中のF原子密度計算、FTIRを用いて副生成物の同定、異なるプロセスパラメータを用いた際のエッチレート、表面化学組成計測を行った。また、連携研究者のソニー辰巳氏、深沢氏より試料提供を受け、プラズマプロセスによるダメージ層を有するSiサンプルの長時間のエッチングを試み、最低速度 6 nm/minの低速エッチングができることを実証した。窒酸化膜が生成しているため、ダメージ層除去のために当該エッチング使用した後、Wetエッチングも検討する必要性があることが示唆された。申請時の研究計画に沿ってIn-situシステムのセットアップを進めており、建屋の周辺ガスラインが整備されるH27.6以降In-situシステムセットアップを続行する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究を遂行する上での課題として、H27.3月~6月にかけて本研究設備の一部が置かれている建屋から新建屋への引越し作業、ガスライン配管見直し工事があるため、この期間前後は実験業務が全面停止している。この期間内に、分子軌道法、分子動力学等のシミュレーション解析に取り組む。F原子計測は真空紫外分光法(VUVAS)を用いるとプロセス圧力600 Pa程度では光路長を数mm程度にする必要があるので、エッチング導入口を取り付けることができない。平成27年度以降は電子スピン共鳴法(ESR)を活用してF原子計測を行う予定である。平成26年度に老朽化しているSTMが修理不能であることが分かったので表面吸着分子の解析は昇温脱離ガス分析法(TDS)を用いて行う予定である。テフロンライニング付新規プロセス装置をH26に試作したところ、ガス排気が不均一で面内均一性が得られなかった。H27より新たにチャンバー設計に詳しい豊橋技科大の若原昭浩教授と流体シミュレーション解析を得意とする株式会社アテナシス池田圭氏の協力を得て、均一エッチングができるチャンバー設計・製作を行う。
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