2014 Fiscal Year Annual Research Report
有機・無機ハイブリッドナノ粒子を用いた極限量子ビーム微細加工プロセスの創成
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26706027
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山本 洋揮 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (00516958)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 量子ビーム / 半導体超微細化 / リソグラフィ / ナノ材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
量子ビームによって誘起されるナノ空間内の反応を解明し、その反応機構に基づいて高感度、高解像度、低ラフネスを示す極限量子ビーム微細加工プロセスを創成することが本研究の目的である。そのために、10 nm以下のパターンを形成できる有機・無機ハイブリットナノ粒子を合成し、その反応機構を解明することを試みる。 本年度は固体有機中に多量の金属がある場合の反応を解明し、量子ビームから付与されるエネルギーを100%利用できる反応系を探索した。まず、ポリヒドロキシスチレン固体中の反応中間体について電子線パルスラジオリシス法で観測し、ポリヒドロキシスチレンダイマーラジカルカチオンの観測とその生成量を見積もった。近赤外領域におけるブロードな吸収はポリヒドロキシスチレンのダイマーラジカルカチオンの電荷共鳴バンドであることが同定された。この吸収バンドは250 ns以内では減衰しなかった。ポリヒドロキシスチレンのダイマーラジカルカチオンの放射線化学的な収量であるG値(吸収線量100 eVに対して発生する分子数)を算出することに成功した。このように、固体中でのポリヒドロキシスチレンの反応中間体の観測にはじめて成功した。 さらに、ポリスチレン固体中での多量の金属イオン前躯体が存在する固体中でのパルスラジオリシス法での実験を行った。ポリスチレン中での金属ナノ粒子がアグリゲーションしていく様子をはじめ、ポリマーのダイマーラジカルカチオンやエキシマーなどの様々な反応を観察することにはじめて成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高感度、高解像度、低ラフネスを示す極限量子ビーム微細加工プロセスを創成するために、平成26年度は固体有機中に多量の金属がある場合の反応を解明し、量子ビームから付与されるエネルギーを100%利用できる反応系を探索することを目指した。ピコ秒パルスラジオリシス法を用いて固体中でのポリヒドロキシスチレンダイマーラジカルカチオンの観測とその生成量を見積もることに成功した。この結果より、高分子固体中での反応機構の解明の糸口を見つけることができた。 同様に、ポリスチレン固体中での多量の金属イオン前躯体が存在する固体中でのパルスラジオリシス法での実験を行い、ポリスチレン中での金属ナノ粒子がアグリゲーションしていく過程の観測に成功した。このように、固体中での金属ナノ粒子の形成過程を観察できたので、高分子薄膜中でも金属ナノ粒子がどのように生成されるか明らかになりつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
固体中での金属ナノ粒子の形成過程を観察できたので、合成した有機・無機ハイブリッドナノ粒子薄膜の形成過程の解明を行う。γ線及び化学的還元法によって作られたコアの金属ナノ粒子を作製し、その後、化学的に修飾して様々な有機・無機ハイブリッドナノ粒子を合成する。紫外光電子分光(UPS)を用いてイオン化しやすい有機・無機ハイブリッドナノ粒子レジストを探索するとともに合成方法や構造の違いによってイオン化ポテンシャルにどのように影響するのかを明らかにする。また、合成した有機・無機ハイブリッドナノ粒子をQCM法と動画原子間力顕微鏡によるを併用することで現像過程を解明する。さらに、実際にシリコン基板上にスピンコートし、薄膜を形成して、75 kVの電子ビーム描画装置を使って微細パターンが形成可能であるか調べる。
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Causes of Carryover |
購入予定の物品が初年度に購入できなかったため。また、初年度ということもあり、学会発表に予定していたとおり参加できなったため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は物品費の購入、必要な薬品類、器具等の消耗品および学会発表のための国内外の旅費にあてる。
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Research Products
(2 results)