2014 Fiscal Year Annual Research Report
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26707004
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| Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
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Principal Investigator |
桑田 和正 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (30432032)
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| Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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| Keywords | 熱分布 / Ricci流 / 曲率次元条件 / 最適輸送 / Bakry-Emery理論 / Brown運動 / 結合法 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
後ろ向きRicci流上で，幾つかの熱分布の汎関数の値が時間について単調になる，という性質を，確率論の手法と最適輸送理論の手法を複合的に用いて非コンパクト空間へと拡張した．また，それらの結果の意義と応用について，N. Gigli氏，A. Thalmaier氏，X.-D. Li氏らと議論した．この結果については，現在論文を執筆中である．この問題は主に微分法に基づく解析的な手法で研究されており，異なる観点からのアプローチは，理論の異なる側面に光を当てるものと期待される．
F. Bolley氏，I. Gentil氏，A. Guillin氏らと，熱分布のWasserstein距離の拡大率に関する新評価とBakry-Emeryの曲率次元条件との関係について議論し，コンパクト多様体上ではこれらが同値になる事を証明した．より一般の測度距離空間で同値性が従うと考え，共同研究を継続している．また，この結果の応用についてK.-T. Sturm氏と議論した．新評価は曲率次元条件の新しい定式化として機能することが判明したことで，既存の枠を超えた空間族への理論展開の足掛かりになると期待されている．
Bochner不等式を元にBakry-Emery理論を測度距離空間上で展開し，熱半群に関する幾つかの関数不等式を得た．また，熱分布に対応するBrown運動の結合法にそれらの関数不等式が利用できることを明らかにした．結果はまだ部分的であり，幾つかの点で改良が望まれる．測度距離空間上でBrown運動の結合法を考えることは，これらの空間族を扱う幾何解析では自然な問題であるが，充分に研究が為されているとは言い難い．諸問題への多角的なアプローチのためにも，研究の一層の深化が望まれる．
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画のうち，非対称生成作用素を持つ拡散方程式への理論の拡張，および劣Riemann多様体上の熱半群の解析については，まだ糸口をうまくつかめておらず，今後の更なる進展が期待される．
一方でRicci流上の熱分布の解析やBakry-Emery理論の結合法への応用については，結果を得た以外に新たな深化・応用の可能性が見えてきており，部分的には従来の期待以上の水準で推移している．
Wasserstein距離の拡大率評価は当初の研究計画には含まれていなかったが，望外の進展が見られる．当該研究課題と深く関連する研究であり，研究課題全体の推進を補助するものと考えている．
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| Strategy for Future Research Activity |
Bakry-Emery理論の応用については，その大家であるM. Ledoux氏の研究グループにあって精力的に活動しているI. Gentil氏との連携を強化する．現在の共同研究を完成させると共に，氏の2015年11月の来日(予定)時に，熱半群に対する関数不等式についての研究打合せを行う．
劣Riemann多様体上の熱分布の解析と曲率次元条件の一般化については，その第一人者であるF. Baudoin氏が2015年7月に来日する．この機会を利用して，氏との研究打合せを密に行う．
2015年度は伊藤清先生の生誕100周年に当たり，複数の国際研究集会を含む各種の催しが企画されている(Baudoin氏の来日もその一環である)．これらの場を通じて幅広い関連分野の研究者達との議論を重ね，研究推進の一助とする．
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| Causes of Carryover |
他の業務との調整の結果，F. Baudoin氏を訪問し研究打合せを行う計画を含む，幾つかの出張・研究打合せの計画が実行できなかった．
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
2014年度のF. Baudoin氏訪問を含む出張計画に代わり，2015年度開催予定の合宿型セミナーに同氏を含む関連分野の研究者を招聘する事で，2014年度の計画変更の穴埋めを行う．
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