• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2016 Fiscal Year Annual Research Report

すばる望遠鏡の超広視野カメラで明かす遠方銀河の三次元大規模構造と星形成史

Research Project

Project/Area Number 26707006
Research InstitutionNational Astronomical Observatory of Japan

Principal Investigator

林 将央  国立天文台, ハワイ観測所, 特任助教 (30583554)

Project Period (FY) 2014-04-01 – 2018-03-31
Keywords銀河形成 / 銀河進化 / 大規模構造 / 星形成史
Outline of Annual Research Achievements

平成28年度は、HSCすばる戦略枠サーベイ(HSC-SSP)の第一回公開データ(DR1)を用いて輝線銀河探査を行い、その成果を論文にまとめた。HSC-SSPデータとして現在のところ利用できるNB816とNB921の2つの狭帯域フィルターデータの解析を行った。NB816データは5.68平方度、NB921データは16.7平方度の非常に広視野のデータであることが特徴である。約18,000天体のHα輝線銀河、約15,000天体の[OIII]輝線銀河、約27,000天体の[OII]輝線銀河のサンプルが得られた。各輝線銀河の空間分布では、数10Mpcを超える星形成銀河の大規模構造が見られた。赤く星形成をしていない銀河を基に探査した銀河団の分布と比較してみると、興味深いことに、星形成銀河の大規模構造に沿うように複数の銀河団が存在し、幾つかの銀河団では星形成銀河の高密度領域の位置と一致することが分かった。赤い銀河と輝線を出す星形成銀河の両方の銀河種族に着目することで、銀河団のメンバー銀河をバイアスなく選び出せていると言える。HSC-SSPデータから得られた輝線銀河サンプルから、光度関数を描いてみると、光度の小さい側では先行研究の結果と一致し、光度の大きい側でフィールド間のばらつきが大きい。特に光度の大きい側の光度関数を精度よく決めるためには広い視野が必要であり、HSC-SSPデータは光度の大きい側から小さい側まで、信頼度の高い光度関数を示すことができている。ここまでの成果を論文にまとめ、平成29年4月1日に日本天文学会 欧文研究報告(PASJ)に論文を投稿した。さらに、輝線が特に強く、星の連続光が弱い銀河を探すことで、若く、低質量、低金属量の銀河の候補を選び出した。そして、平成29年3月に、この低質量銀河の候補天体の分光観測データを取得した。分光データの解析は来年度の課題である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

平成28年度はHSCすばる戦略枠サーベイデータを用いて、研究計画通りに輝線銀河探査を行い、その空間分布や光度関数を明らかにした。そして、その成果を査読論文にまとめ、投稿するまでに至った。一方で、本研究課題で製作したHSC-NB926狭帯域フィルターを用いて観測を実施し、そのデータを用いて、輝線銀河の分布を三次元的に描き出すことが本研究の更なる目的である。NB926フィルターで観測する準備を整え、すばる望遠鏡の共同利用観測公募に応募したものの、残念ながら平成28年度中に、HSC-NB926フィルターを使ったHSC観測のためのすばる共同利用観測時間を獲得することが出来なかった。平成28年度末時点で、NB926データを取得する目途が立っていないことから、進捗状況の区分としては、「やや遅れている」と評価する。

Strategy for Future Research Activity

平成29年度は、本研究課題で製作したHSC-NB926狭帯域フィルターを用いて観測を実施できるように、すばる共同利用観測時間の早期の獲得を目指す。そして、NB926データとすばる戦略枠サーベイのNB921データを組み合わせて、研究を進めていく。平成28年度にすばる戦略枠サーベイのNB921データを使った研究を進めた実績があるため、NB926データが取得できれば、速やかに研究計画の解析を行い、輝線銀河の三次元的大規模構造を描き出すことが可能である。
また、輝線が特に強く、星の連続光が弱い銀河を探すことによって選び出した、若く、低質量、低金属量の銀河候補の分光追観測を平成29年3月に実施している。この分光観測データの解析を進めることで、銀河の成長過程を理解する上で鍵となる銀河種族の詳細な性質を明らかにしていく計画である。

Causes of Carryover

HSC-NB926データの解析を行うために、ワークステーションを購入予定であった。しかしながら、平成28年度中に、すばる共同利用観測時間を獲得することができず、HSC-NB926データの取得ができなかった。そのため、平成28年度にワークステーションを購入することを見送った。

Expenditure Plan for Carryover Budget

平成29年度も引き続き、すばる共同利用観測時間の獲得を目指し、応募を続ける。HSCのデータは膨大なため、すばる共同利用観測時間の獲得に成功し、観測データを取得できた場合、自分で生データからデータリダクションを行うためには、通常のPCのハードディスクやメモリの容量、およびCPUでは性能不足である。そのため、HSCデータのリダクションに耐えうる性能を持ったワークステーションを購入する予定である。また、すばる戦略枠サーベイの観測データもますます増加している。そのため、すばる戦略枠サーベイデータを使った研究でも、短時間で解析計算を終わらせるために、高性能のワークステーションを利用できることが望ましい。したがって、いずれにしても、本研究をスムーズに進めるために平成29年度にワークステーションを購入する計画である。

  • Research Products

    (4 results)

All 2016 Other

All Int'l Joint Research (2 results) Presentation (2 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Int'l Joint Research] Princeton University(米国)

    • Country Name
      U.S.A.
    • Counterpart Institution
      Princeton University
  • [Int'l Joint Research] ASIAA, National Taiwan University(台湾)

    • Country Name
      その他の国・地域
    • Counterpart Institution
      ASIAA, National Taiwan University
  • [Presentation] Probing star forming galaxies at z<1.5 with wide-field HSC-SSP narrowband data2016

    • Author(s)
      Masao Hayashi
    • Organizer
      The 6th Subaru International Conference - Panoramas of the Evolving Cosmos
    • Place of Presentation
      広島国際会議場(広島県広島市)
    • Year and Date
      2016-11-28 – 2016-12-02
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] HSC狭帯域フィルターデータの評価と輝線銀河カタログ2016

    • Author(s)
      林 将央
    • Organizer
      第3回銀河進化研究会
    • Place of Presentation
      東北大学 青葉山キャンパス(宮城県仙台市)
    • Year and Date
      2016-06-01 – 2016-06-03

URL: 

Published: 2018-01-16   Modified: 2022-02-16  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi