2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26707007
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
斎藤 貴之 東京工業大学, 地球生命研究所, 特任准教授 (40399291)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 銀河形成 / 数値シミュレーション / フィードバック |
Outline of Annual Research Achievements |
星間ガスの熱的構造の研究では、Far UV(以下 FUV) が熱源として重要な役割を果たすことが知られている。一方、銀河形成シミュレーションではこれまでFUVについてはほぼ取り入れられてこなかった。本年度、FUV をモデル化し、回転速度 40-230 km/s の孤立銀河に適用し、FUV の効果について評価し、孤立銀河の進化において FUV が極めて大きなインパクトを持つこと天文学会で報告した。しかしながら、このモデルを通常の分解能の銀河形成シミュレーションに適用するとそのインパクトは弱い。これは FUV は柱密度に敏感で、かつ、柱密度推定近似式が質量分解能によってしまうからである。星形成領域の質量分解能を一定に保つ方策を模索し、粒子分割法の実装をおこなった。これにより近傍で較正した強度の FUV フィードバックを用いることができ、星間ガスの現実的構造を評価できるようになると期待される。
また、私が当初採用していた超新星爆発によるフィードバックのモデルにはまだ改良の余地がある。このモデルでは、超新星爆発によって注入されるエネルギーが放射冷却に打ち勝てるだけ高い温度になるようにイベント数を調整するが、この条件だとイベント数が下がり、結局フィードバックが有効にならない。設定温度の調整では対応不可能であった。そこで現在は北海道大学岡本崇講師が先頃構築したマルチフェーズガスモデルを組み込んで評価している。
以上に加え、主に東京大学平居悠博士課程院生(現在理研特別研究員)と、前年度開発した化学進化シミュレーション用ライブラリ CELib (やその拡張版)を矮小銀河の化学進化シミュレーションに用い、rプロセス元素の分布から金属量混合係数に制限を付ける研究や、電子捕獲型超新星爆発による亜鉛分布についての研究をおこなった。これらは CELib の有用性を強く示したと考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度はフィードバックモデルについて集中的に研究をおこなった。これにより、FUV フィードバック及び超新星爆発からのフィードバックのモデルについて大幅な更新ができた。おおよその試験を終えて本計算にはいる準備をしているところである。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでに開発したモデルを統合した銀河形成シミュレーションをおこなう。新しいフィードバックモデルと FUV フィードバックの組合わせから、銀河形成にどのようなインパクトを与えるかを調べていく。シミュレーション終了後可視化データに加工し、広く研究成果を理解してもらえるように公開する。
|
Causes of Carryover |
(理由)フィードバックモデルの改修に時間を要したため。 (使用計画)マルチフェーズモデルを採用した銀河形成シミュレーション可視化を専門の業者に業務委託する。
|
Research Products
(10 results)