2014 Fiscal Year Annual Research Report
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26707023
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
栗田 玲 首都大学東京, 理工学研究科, 准教授 (20579908)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ソフトマター / 温度勾配 / パターン形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
ソフトマターは温度や濃度・外場に対して非常に敏感であり、様々な高次な構造を形成する。我々は常温で液体状態であるイオン液体に着目した。イオン液体はカチオンにアルキル基がついており、ソフトマターの代表的な界面活性剤と類似した構造を持っている。我々の研究により、このイオン液体を水に溶解させると、通常の液体の拡散とは異なる挙動を示すことがわかった。これは界面活性剤のベシクルと同様に、カチオンのアルキル基が疎水性相互作用し、界面に構造を形成するためだと考えられる。界面の構造形成の時間スケールは拡散よりもはるかにはやく、この時間スケールの違いにより、一時的に界面張力が発生するため、通常の溶解過程とは異なることがわかった。これについては現在、論文を投稿中である。 このほかに我々はゲルの熱輸送過程を調べた。寒天やゼラチンといった物理ゲルは温度により可逆的に液体状態(ゾル)とゲル状態を転移する。この転移点近傍では粘性が大きく変化するため、速度場に大きな影響を与える。そのため、熱輸送過程も大きく変化することが期待される。我々はゾルゲル転移近傍における熱対流現象を調べた。その結果、通常の熱対流とは大きく異なる挙動が見られた。速度場・温度場を同時に可視化することにより、その異常な熱輸送過程の挙動は流れのない領域が形成され、それが沈降することによって起こることがわかった。これについても、現在、論文を投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
温度勾配下におけるソフトマターの挙動は実験が難しく、また、理論的解析も極めて難しい。その中で実験を工夫することにより、大きな発展的な結果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、順調に進んでいるので、このまま当初の計画に沿って進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
購入したものが予定よりも安かったため、次年度に繰り越すことになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究を進めるにあたって、専門的な知識を持った人材を雇用し、このことにより研究を大きく発展させることができる。この人件費に使用する予定である。
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