2014 Fiscal Year Annual Research Report
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26707030
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大場 康弘 北海道大学, 低温科学研究所, 特任助教 (00507535)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 硫黄 / 星間分子雲 / 化学進化 / 重水素濃集 |
Outline of Annual Research Achievements |
硫黄(S)を含む主要な星間分子である硫化水素(H2S)は金属との反応性が非常に高く,とくに銅やアルミニウム,銀を腐食する性質を持つ。そうした金属は現有の極低温表面反応実験装置に多く使われているため,あらたに硫化水素を取り扱う専用の実験装置の設計・製作をする必要があった。 反応チャンバーにはフーリエ変換型赤外分光光度計,四重極型質量分析計,ターボ分子ポンプ,極低温冷凍機がおもに設置される。四重極型質量分析計などの既製品は適切なものを選別して購入し,反応チャンバーなどの設計が必要なものは,適切な構造を検討し,業者とのやり取りを繰り返し,製品を発注した。また,反応基板を取り付けるサンプルホルダーは従来無酸素銅を用いていたが,これを金メッキ加工して,硫化水素による腐食を防止した。ガスの粗引きに用いるロータリーポンプのオイルも,フォンブリン製の不活性オイルに変更した。 実験開始に必要なすべての装置・部品等が揃うまでに時間を要したため,H2Sを用いた反応実験まで到達することはできなかったが,すぐにでも取り掛かる準備は整っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一年目はおもに実験装置の準備に時間を割く計画であったため,すべての用意が整ったということで順調に進展したと判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は構築した実験装置を用いて,従来の計画通りに極低温表面反応実験を進めるが,まずは新装置の性能評価からはじめたい。その後ただちにH2Sを用いた実験を進めていく。
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Causes of Carryover |
硫化水素の重水素置換体を購入予定だったが,納期が間に合わなかったために次年度に繰り越しとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
硫化水素の重水素置換体を購入する。
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