2016 Fiscal Year Annual Research Report
Chemical evolution of sulfur-bearing molecules in interstellar molecular clouds
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26707030
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大場 康弘 北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (00507535)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 化学進化 / 硫黄 / 星間分子雲 / 表面反応 / 重水素濃集 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はまず,極低温表面における重水素置換硫化水素ガス(D2S)と水素(H)原子との反応性を検証した。D2SガスとH原子を10Kに冷却した反応基板上に同時に導入し,反応生成物をフーリエ変換型赤外分光光度計(FTIR)で分析した。H原子を導入していないときにはD2SのS-D伸縮振動(~1900cm-1)に由来するピークが検出されたのみであったが,H原子を導入することで,S-H伸縮振動(~2500cm-1)に由来するピークが検出された。これは反応基板上でD-H置換反応がおき,HDSやH2Sが生成したためだと考えられる。反応経路としては,①D2S+H→DS+HD,②DS+H→HDSのように,D原子引抜きーH原子付加という二段階で進行したと考えている。 上記の同位体交換反応に加えて,H2S生成に関する実験をおこなった。まず固体H2S層を10KのアモルファスH2O氷上に作製した。その後,H原子を基板上に導入してH2Sと反応させた。D原子をH原子に変えて実験をおこなえば,H2S+H→HS+H2,HS+H→H2Sというように,H2Sが一度HSラジカルに変化して,再びH2Sが生成するという結果が予想された。しかしFTIRで分析すると,H2S量がH原子導入とともに減少していった。一方で,FTIRスペクトル上には新たな生成物は確認できなかった。これは,H2S生成反応(HS+H→H2S)の反応熱(~-338 kJ/mol)によって,生成したH2Sが表面から脱離したためだと考えられる。この現象はChemical desorptionと呼ばれており,星間分子雲の気相に存在するある種の分子の存在量を説明するうえで不可欠なメカニズムだと考えられてきた。しかし,実際にChemical desorptionを実験的に,かつ明確に証明した例はなく,本研究が初めての例となる。
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Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Causes of Carryover |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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