2014 Fiscal Year Annual Research Report
Iron-Catalyzed C-H Activation using Organoboron Compounds
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26708011
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
イリエシュ ラウレアン 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (40569951)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 合成化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は,安価および低毒性である鉄に着目し,鉄触媒を用いた様々なC-H結合活性化を伴う炭素-炭素結合生成反応を報告してきた. しかしこれらの反応において,鉄(III)塩を有機金属化合物により還元され低原子価鉄種の混合物になってしまい,反応の制御が困難であった. 平成26年度に申請者は配位子設計およびマイルドな有機金属試薬を用いることにより,有機鉄(III)活性種の反応性制御に成功した.すなわち,8-アミノキノリン(8-Q)配向基を有する基質,ジホスフィン配位子および空気中で安定な有機ホウ素化合物により鉄活性種の安定化に成功し,ジエン,トリエン,スチレンおよびジアリール類の新合成ルートを開発した .この反応の鍵となった発見は,有機ホウ素中間体から鉄触媒へのトランスメタル化を触媒量の亜鉛(II)を用いて温和な条件で達成したことである.興味深いことに,有機ホウ素化合物由来のホモカップリング体が生成されなかったため,本反応では鉄(III)の還元は進行しないと分かった.実験および理論研究により,8-アミノキノリン配向基およびジホスヒン配位子が有機鉄(III)種および反応途中で生成される有機鉄(I)種を安定化すると分かった. また,有機亜鉛ハライドを塩基として用いて同様な有機鉄(III)活性種が生成し,アルコール誘導体またはアルキルハライドにより芳香族またはアルケンアミドのアルキル化反応が高収率で進行することを見出した.この反応は,アルコール誘導体を用いたC-H結合活性化による効率的なアルキル化反応の初めての例である.困難だと思われているアルケン基質が,有機鉄(III)活性種を触媒として用いると異性化せず高収率でアルキル化反応が進行した.また,傘高いおよび異性化しやすい二級アルキル基も高収率で導入できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
申請者は,資源として豊富で無毒であるが有用性に乏しかった鉄を,活性種の高い反応性を制御でき,貴金属を凌駕しうる活性と選択性を示す触媒に磨き上げた.本研究により得られた成果は,基礎学術分野の観点から興味深いだけでなく,持続性社会の構築という課題の解決に貢献するものである.以上の二つの反応を,化学分野においてもとも引用数(impact factor)の高い雑誌であるJournal of the American Chemmical Societyに報告し(J. Am. Chem. Soc. 2014, 136, 14349とJ. Am. Chem. Soc. 2014, 136, 13126),世界中に注目集めている成果である.
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度の研究計画として: 1)有機鉄(III)種による炭素-水素結合活性化反応の反応機構を実験および理論研究を用いて明らかにする. 特に炭素-水素結合活性化ステップとその遷移状態お理解,および還元的脱離後生成あれるFe(I)種の,配位子による安定化効果を研究する. 2)sp3炭素-水素結合を有する基質の反応への展開を検討する.予備検討により,この反応は配位子設計が鍵になると予測する.前例が殆どないアルケニル化およびアルキル化反応を集中的に検討する.不斉sp3炭素-水素結合活性化反応への展開も検討する. 3)有機ボロネートまたは有機亜鉛ハライドよりもマイルドな塩基を検討する.例えば,有機アルミニウム試薬(トリメチルアルミニウム)を用いた芳香族アミドのメチル化反応が高効率で進行すると見出した.配位子設計により高い反応効率(TON)が得られることが期待できる. 4)配向基を有しない,すなわち単純な炭化水素類の炭素-水素結合活性化反応への展開を検討する.配向基として用いた8-キノリルアミドよ配位子として用いたジホスヒンから組み立てた新しい配位子を設計する.
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Causes of Carryover |
研究計画のなか,27年度にsp3炭素-水素結合を有する基質の反応開発,最終的に不斉炭素-水素結合反応への展開を予定している. 不斉反応検討のため,高額の不斉配位子および分析用の高額のキラルカラムなどが必要である.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
27年度にsp3炭素-水素結合を有する基質の反応開発し,最終的に不斉炭素-水素結合反応への展開を予定している. 不斉反応検討のため,高額の不斉配位子および分析用の高額のキラルカラムなどを購入する予定である.
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[Presentation] ジ亜鉛中間体を経た選択的な置換インドール合成2015
Author(s)
101. Mayuko Isomura, Shinichi Yamauchi, Laurean Ilies, Masaharu Nakamura, Eiichi Nakamura
Organizer
日本化学会第95春季年会
Place of Presentation
日本大学(千葉)
Year and Date
2015-03-26 – 2015-03-29
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[Presentation] Iron-Catalyzed C-H Activation2015
Author(s)
Laurean Ilies, Eiichi Nakamura
Organizer
The 13th Ibn Sina International Conference on Pure and Applied Heterocyclic Chemistry,
Place of Presentation
Hurghada (Egypt)
Year and Date
2015-02-14 – 2015-02-17
Invited
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[Book] Organic Reactions2014
Author(s)
Eiichi Nakamura, Takuji Hatakeyama, Shingo Ito, Kentaro Ishizuka, Laurean Ilies, Masaharu Nakamura
Total Pages
206
Publisher
John Wiley&Sons
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