2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26708013
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
稲木 信介 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 准教授 (70456268)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | バイポーラ電極 / ポリマーブラシ / 傾斜材料 / 原子移動ラジカル重合 / リビング重合 / 電解発生活性種 / パターニング |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、バイポーラ電極の織りなす電位勾配を利用した傾斜ポリマーブラシの創製に挑戦した。これまでに、バイポーラ電極上で一価銅を傾斜的に発生させる、すなわち、一価銅の濃度勾配を表面に発現させることに成功しており、本研究では原子移動ラジカル重合(ATRP)の重合触媒として用いた。基板に固定化した重合開始剤から各種オレフィンモノマーの表面開始重合を行うことで、一価銅触媒の濃度に応じて重合速度を制御することができ、その結果、ポリマーブラシの長さが傾斜的に異なる傾斜ポリマーブラシを得ることに成功した。傾斜ポリマーブラシは各種スペクトル、レーザー顕微鏡や触針式プロファイラーを用いた高さ解析により詳細に同定を行った。また、ポリマーブラシはリビング的に成長しており、一旦電解を停止した後に再度電解ATRPを開始しても同様の成長速度が観測された。本手法は様々な汎用モノマーに適用可能であり、従来の電気化学的ATRP法では重合が困難であった非極性モノマーでもポリマーブラシが実現している。温度に応じて相転移を示すことが知られているポリイソプロピルアクリルアミドを用いた場合、室温ではポリマーブラシ部位が親水性であり、水滴を保持するのに対し、60℃においてはポリマーブラシ部位は疎水性となり、撥水性を示すなど、スマート表面の作成にも成功した。また、バイポーラ電極上に様々な電位分布を発生させた場合もその分布をポリマーブラシの形状に転写することが可能であることを見出した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度予定していた研究実施計画は完全に達成できており、当初予定したよりも多くの知見を得ることに成功した。例えば、従来法とは異なり、本手法においてはモノマーの汎用性が非常に高いなど、想定外の結果に遭遇している。また、バイポーラ電極上の電位分布を局所的に印加するパターニング応用について、当初は平成28年度に計画していたが、前倒しで実現可能であることを示すことができた。したがって、当初の計画以上に進展していると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度において、バイポーラ電極上に発生させた電位勾配を転写した新規表面作成法について確立した。次年度以降、導電性微粒子をバイポーラ電極化することで、両極における局所的表面修飾を様々な電解反応を用いて検討する。また、本年度において実現可能性を示したパターニング応用についても電解重合膜の作成などデバイス応用面を意識して推進する予定である。
|
Causes of Carryover |
物品費、その他経費が当初の予定よりも少なく抑えられた。また、ドイツ化学会の電気化学部会に参加した際、招待講演者には旅費の補助が出たため、当初の計画よりも支出を抑えることができた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度の研究において、重要な消耗品である高価な導電性微粒子の購入費に充てる。その他電解重合用のモノマーの合成試薬も高額となるため、充当する。
|