2014 Fiscal Year Annual Research Report
界面不安定性に基づく制限域形態制御とボトムアップ型立体光造形技術の確立
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26708015
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
遠藤 洋史 東京理科大学, 工学部, 助教 (90455270)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | リンクル / 座屈不安定 / 立体造形 / PDMS |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、インクジェット方式を基盤とした3Dプリンティング技術が目覚ましく進歩している。工程の簡易化、製造装置の小型化が可能であり、従来の真空プロセスを経ないためコスト面においても大幅な生産性の向上が期待できる。しかしながら、ナノオーダーからの微細凹凸構造を精密、周期的かつ簡便に付与できる立体造形技術は未だ達成されていない。本研究では微細凹凸構造を有する弾性薄膜の自発的フォールディング(薄膜の三次元折りたたみ)を利用して、薄膜内に自動内包された液滴を光硬化させると同時に、凹凸構造を転写するという全く新しいタイプの3D光造形技術の確立を目指した。 スピンコーティングにより作製したPDMS薄膜(膜厚:約50 μm)を伸張装置に固定し、開口部から曲率を有する金属円柱で下から立体的に伸張後、最表面に所定時間プラズマ酸化処理を施した。その後、初期状態に円柱を戻し、伸長を解放した。解放する過程において、新たに形成された最表面の硬シリカ層(SiOx layer)と、下地弾性体層との弾性率のミスマッチに起因する座屈不安定性が誘起されるため、PDMS薄膜表面にリンクルが形成される。このプロセスにより得られるリンクルの波長、振幅は薄膜の伸張率に依存しており、伸張率の変化に伴う表面積や表面自由エネルギ-、薄膜の曲げエネルギー変化をそれぞれ算出することで、フォールディング挙動とリンクル構造の相関性を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リンクルフィルムに光架橋性モノマー(PEGDA)と光開始剤(Irgacure2959)の混合液を滴下し、フォールディング挙動を誘起した。その後UV照射による光架橋を行い、リンクルフィルムを剥離することで立体造形物単体を得た。この造形体表面は周期構造に由来した構造色を発しており、SEMやAFM観察の結果、波長および振幅が鋳型ストライプ構造と完全に一致した。またフォールディング挙動はストライプ方向や種々カッティングしたフィルムの形状(矩形・三角形・十字)を反映するため、様々な形状の造形体を作製することに成功した。当初の計画通りに順調に研究が進行していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
AFMおよびSEMによる顕微鏡観察の他、形状測定レーザー顕微鏡により効率的な構造解析を行う。またAFMプローブ法により表面弾性率、凝集エネルギーを測定し、有限要素FEM解析を併用して構造力学的な観点からシミュレーションして弾性理論式(オイラー座屈方程式)及び界面付着に関わるJKR理論と照らし合わせる。リンクル形状と表面力学特性の相関性を抽出して、立体伸張特有の力学座屈モデルを構築し定式化する。また、リンクル内へのナノマテリアル挿入により、造形体の機能拡張を図る予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度に必要な高額機器を購入できたが、未使用分額だけではその他必要な機器購入ができなかったため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の研究に必要な物品購入に使用する予定
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Research Products
(12 results)