2015 Fiscal Year Annual Research Report
生体系固体NMRの高感度化-光を使った汎用法の確立
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26708019
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松木 陽 大阪大学, たんぱく質研究所, 助教 (70551498)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 感度向上 / 固体NMR / 光CIDNP |
Outline of Annual Research Achievements |
1.励起フラビンと対になる電子受容体分子の探索と、ミセル化による分子自己集合型分極剤作成プロトコルの開発。両者が接近できるコンストラクトを、蛍光クエンチングを指標に作成した。昨年度、PEG化フラビンとPEG化トリプトファンからなるミセルでは、強い蛍光クエンチから両者の接近は確認できるものの、固体CIDNP現象の観測に至らなかった。励起フラビンが集合して自己クエンチをおこしている可能性があり、今年度はSDS(負荷電)、Triton-X100(荷電無し)、CTAB(正荷電)などの種々のイナートなミセルにPEG化電子授受分子を埋め込む形式の、希釈型ミセル分極剤を作成した。 具体的には、電子供与体(FMN、リボフラビン、PEG化リボフラビン)と受容体(アセチルTrp、インドール、インドールアセトアミド、PEG化Trp)の様々な組み合わせを上記のイナートミセルに埋め込み、蛍光クエンチと溶液NMR、溶液CIDNP測定で有望な者を絞り込み、CIDNP-NMR測定を行った。低温(-50℃)では明らかな分極の増大を見るに至らず、分子運動が抑えきれていない可能性がある。極低温(-160℃)条件での実験に移る。 2.リボフラビン-インドール共有結合型分極剤の合成。精製度は低いものの合成に成功。極低温の固体CIDNP測定を行ったが、分極の増大を見るに至らず。DMSO/水からなるグラスマトリクスの硬度不足で核の緩和が速すぎると考えられる。種々の糖アルコールで形成する硬いマトリクスを探索する。また、電子-核の分極移動を能動的におこすためのリカップリング(マイクロ波+ラジオ波)パルス列の設計を始めた。 3.500W白色ゼノンランプを選定、購入を済ませた。プローブへの設置と光導入効率の最適化など最終的な調整が済み次第、フラビン以外の色素群に探索を拡張する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
NMRプローブ内の空間制約が高く、高出力白色ランプの選定が難航した影響があり、フラビン以外の色素の探索は遅れている。
その他はおおむね計画した事を実行できている。
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Strategy for Future Research Activity |
電子から核への分極異動を能動的に行うパルス技術の開発を今年度初期に完成させる。白色ランプの運用を早期に開始し、色素探索範囲を広げる事を目指す。
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Causes of Carryover |
高出力白色ランプの選定が、NMRプローブ内の高い空間制約から難航し、購入時期がずれ込んだ。ランプシステムの一部としてのパワーメータの選定中。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
高出力白色ランプシステムの一部としてのパワーメータの購入。
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Research Products
(4 results)