2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26708020
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
鵜澤 尊規 独立行政法人理化学研究所, 伊藤ナノ医工学研究室, 専任研究員 (60554376)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アプタマー / アジドローダミン / 進化分子工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞内に数コピーしか存在しないmRNAを観測するためには、特定のRNA配列が存在する場合に蛍光が増幅されるシステムが必要である。細胞膜を透過できると考えられるアジドローダミンおよびルテニウム(II)トリスビピリジン錯体(以後ルテニウム錯体)に結合するRNA配列それぞれに標的核酸の相補鎖RNA部分を連結させた2つのRNAを細胞内で発現させ、ルテニウム錯体の光励起をトリガーとして無蛍光のアジドローダミンが蛍光性のアミノローダミンに還元されることで蛍光増幅反応を起こす系の構築を本研究では目指している。本年度は、「アジドローダミンに結合するRNAの選出」と「ルテニウム錯体の細胞内への取り込みの観察」を目指して研究を進めた。 「アジドローダミンに結合するRNAの選出」に関しては、進化分子工学を用いて10の13乗種類ほどのRNA配列集団の中からアジドローダミンに結合するRNAの選出を行った。具体的には、(1)50塩基のランダム配列を含むDNAから試験管内転写によってRNAを得て、各配列に特有の構造に折り畳ませた。(2) アミノローダミン固定化カラムに通し、結合しなかったRNAを回収した。(3)アジドローダミン固定化カラムに通し、結合したRNAを熱をかけて変性させて回収した。(4)逆転写とPCRにり二本鎖DNAを得た。このような一連の操作を13回繰り返し、得られた二本鎖DNAの配列を調べた結果、いくつかの配列については重複が見られた。重複が見られなかった配列も含めて計30種のRNA配列について、Bio-Layer Interferometry法を使ってアジドローダミンへの結合を調べた結果、再現良く結合が確認される配列は得られなかった。 「ルテニウム錯体の細胞内への取り込みの観察」に関しては、年度末に導入された蛍光寿命イメージング顕微鏡を使って、溶液中のルテニウム錯体の燐光イメージの測定に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アジドローダミンに結合するRNAの選出については、RNAの選出を試みたものの、残念ながら結合を確認できるRNAを選出できなかった。同時並行して進める予定であったルテニウム(II)トリスビピリジン錯体の細胞内への取り込みの観察については、蛍光寿命イメージング顕微鏡が政府調達となったため納品が予定よりも大幅に遅れたものの、ルテニウム(II)トリスビピリジン錯体の燐光のイメージングには成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
再度アジドローダミンに結合するRNAの選出を行う。先ずはローダミンに結合するRNAを探したのち、アジドローダミンに結合するRNAを探索する予定である。もし、アジドローダミンに結合するRNAが得られれば、試験管内において蛍光増幅反応が起きるかを先ず調べ、その後に細胞内で蛍光増幅反応を観察する 上述のアジドローダミンに結合するRNAの選出と並行して、ルテニウム(II)トリスビピリジン錯体に結合するRNAを細胞内で発現させたうえで、ルテニウム(II)トリスビピリジン錯体の細胞内への取り込みを、蛍光寿命イメージング顕微鏡により観察する。
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Causes of Carryover |
蛍光寿命イメージング顕微鏡が政府調達となり納品が平成26年度末になったため、当初の想定通りに研究を進めることが難しく、平成27年度の基金分の一部を消耗品費として繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
去年度の使用計画をそのまま本年度に移行する。具体的にはアジドローダミンに結合するRNAの選出を続けると共に、ルテニウム錯体に結合するRNAを細胞内で発現させたうえで、ルテニウム錯体の細胞内への取り込みを観察する。これらの実験に必要な消耗品の購入に用いる計画である。
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Research Products
(3 results)