2015 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内の化学反応を可視化する超高感度ラマン散乱増強微粒子の創製
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26708025
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藪 浩 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (40396255)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 自己組織化 |
Outline of Annual Research Achievements |
末端官能基化したポリマーのテトラヒドロフラン溶液にシリカナノ粒子などの表面負電荷を持つナノ粒子の水分散液を加え、テトラヒドロフランを蒸発除去する事により、シリカナノ粒子と末端官能基化ポリマーのコンポジット微粒子が自発的に形成されることを明らかとした。さらに、末端官能基化ポリマーの分子量やポリマー種に依って、シリカナノ粒子の配列や存在部位が変化する事を明らかとした。具体的には、分子量の低いアミン末端官能基化ポリブタジエンを用いた場合、シリカ粒子はポリマー微粒子マトリクス中に包埋された構造となるのに対し、分子量の大きいアミン末端官能基化ポリブタジエンを用いた場合、シリカナノ粒子は粒子表面に偏析し、その結果、ナノ粒子が表面で最密充填した構造となることを明らかとした。アミン末端官能基化ポリスチレンを用いた場合も同様に表面にナノ粒子の偏析が見られたことから、この結果はポリマーの流動性に依存する減少であると考えられる。さらに、この知見はシリカ粒子に限らず、無機のナノ粒子をポリマー微粒子表面に高密度配列させることにつながる重要な発見である。また、従来のヘテロ凝集と異なり、ポリマー溶液から微粒子を作製させる際に同時にコンポジット化が行われるため、粒子表面の電荷を気にする必要は無く、また、溶液状態で麻座合わせるだけであるため、非常に簡便に高密度にナノ粒子が表面で配列したコンポジット微粒子を作製する手法を提供することになり、今後のプラズモン増強粒子の開発に重要な知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コンポジット微粒子の作製については予定を上回る速度で進行しており、順調に進捗している一方、細胞培養に関しては、研究代表者が組織を異動したため、培養設備の引き継ぎおよび異動に伴う実験の停止があり、進捗が若干遅れている。しかし、新年度からも継続して研究が行えるため、ほぼ順調に進捗していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
コンポジット微粒子の粒径制御と培養細胞への導入およびラマン散乱測定を着実に遂行する。
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Causes of Carryover |
昨年度は異動のため細胞培養を一時中断したこと、微粒子の構造制御に大きな進捗があったため、本研究項目に集中したことなどから、次年度以降に細胞培養実験を集中的に行うため次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
生じた次年度使用額を利用して、現在進捗が進んでいる微粒子を細胞に導入する実験を今後2年間で集中的に行う。
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Research Products
(2 results)