2015 Fiscal Year Annual Research Report
六角形モジュラーマルチレベルコンバータ構成の新しい三相交流電力変換システムの研究
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26709016
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
浜崎 真一 長崎大学, 工学研究科, 准教授 (80363472)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | パワーエレクトロニクス / マルチレベルコンバータ / インバータ / 系統連系 / 電力制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
モジュラーマルチレベルコンバータ(MMC)は,変圧器を利用せず小型・軽量,マルチレベル出力による電圧の低歪み化および高電圧出力化などの利点があり,電力系統接続用の電力変換器に適している。本研究では,電力系統接続向けの三相/三相電力変換システムとして,六角形型MMC(H-MMC)による新しい回路構成とその制御方式について提案し,その有効性の検証を行う。 H-MMCは単相変換器(セル)を直列に多段接続してモジュール化し,これらを環状接続した回路構成である。環状接続を6分割して六角形としたときの3端子を三相入力側,他の3端子を三相出力側として接続して三相/三相電力変換器として利用する。前年度はモジュールのセル数を1アームあたり1つの計6つとした構成の実験装置を作製し動作が理論通りとなることを確認していたので,さらにセル数を増加したセル数12の回路を作製し,より実用的な構成で動作の検証を行った。 実験装置はセル数12に対応した制御プログラムをディジタル制御装置(DSP,FPGA)用に作成した。このモデルの動作確認として,出力に負荷を接続した回路で三相/三相交流の電力変換動作について検証をし,必要なセルの電圧を一定に制御しながら目的の任意交流出力が可能であること,負荷の変動にも安定して動作可能であることを確認し,提案する方式がシミュレーションと同様に適正に動作することを明らかにした。今後はさらに出力側へ系統連系した際の動作検証,過渡応答の検証を進める。 また,電力授受の調整を行うための蓄電装置を用いた回路と制御についても理論解析・シミュレーションを行い,理論通りに目的の動作が可能であることを確認した。このシステムを現実験システムに組み込むための回路を作製したので,今後これを利用した系統連系時の電力授受のバランスをとるための制御の実験検証を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に従って,提案するH-MMCの動作確認のための実験装置作製を行い,H-MMCの制御方式の動作検証を行った。提案する制御は,セルの電圧制御,入力側有効・無効電力制御,出力側有効・無効電力制御及び環状回路を循環させる電力の制御を統合して制御する方式で,この方式の基本動作を実験により検証した。制御に必要なプログラムは,DSP,FPGA用の制御プログラム(C言語プログラム,VHDLプログラム)を作成した。負荷は線形なリアクトル,抵抗負荷を接続して任意交流出力が可能であること,負荷の変動にも安定して動作可能であることを確認できたことから,実験検証により実用的なシステム動作の有効性を明らかにした。 また,このシステムに組み込む蓄電システムを利用した回路の制御についても理論解析・シミュレーションにより検証した結果,目的とする動作が確認できたのでこれを現システムと組み合わせた実験を行うことができる。ここまでの実験システムで基本動作を確認できたことにより,今後,提案する制御の有効性を検証するための系統連系試験,系統・負荷変動などの過渡応答試験などに進めることができる。 以上のことから,本研究は計画に沿って,おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
提案したシステムの制御方式の有効性を示すために,実験による各種条件による性能評価試験を行う。評価試験として,系統連系接続時の入力側の電圧変動,系統連系出力の変動試験などを行い、提案方式の有効性を明らかにしていく。さらに,H-MMCの入出力電力授受のバランス調整と変換器内部を循環する電力の調整を適切に行うための電力貯蔵装置を組み合わせた回路の動作について実験検証を行う。この制御方式について制御プログラムを作成し,現システムに組み込み実験検証を行う。最終的に提案するH-MMCシステムの様々な条件における定常試験および過渡試験の実証結果をまとめ,その有効性を明らかにする。
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Causes of Carryover |
実験装置を構成する部品で未購入の部品があるため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験回路を作製する際の電子部品を購入し使用する。
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Research Products
(8 results)