2014 Fiscal Year Annual Research Report
量子スピン情報素子に向けた新構造シリコン量子ドットの開発
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26709023
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小寺 哲夫 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (00466856)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 量子ドット / 量子デバイス / スピン / 量子情報 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、シリコン量子ドット構造中の電子スピンを情報の担い手として用いる量子計算の物理の解明、ハードウェアのための基本技術の実現を行うことである。将来的に既存シリコンテクノロジーと量子計算機の融合を目指す。物理としては、シリコン量子ドット構造に特有のスピン緩和要因、バレーやスピンの関与する電子輸送特性を明らかにする。技術としては、Si基板やSi/SiGeヘテロ基板を利用した独自の新構造量子ドットを作製する。また、Si基板から作製したMOS型新構造量子ドットやSiGeヘテロ基板を利用した新構造量子ドットのそれぞれに適した電子スピンの操作技術や検出法を開発し、確立することにある。 本年度の研究においては、計画通り、新構造素子の設計・作製および素子の評価を進めた。Si/SiGeヘテロ構造およびMOS構造を利用した新しいシリコン量子ドットを設計・作製し、単電子状態、二電子スピン状態、スピンブロッケード状態を実現した。また、バックアクションを利用して量子ドットの励起状態について調べられることがわかった。 本成果は、学術誌、国際学会、国内学会で公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
新構造素子の設計・作製および素子の評価を進めることができた。Si/SiGeヘテロ構造およびMOS構造を利用した新しいシリコン量子ドットを設計・作製し、単電子状態、二電子スピン状態、スピンブロッケード状態を実現した。さらに、電荷計によるバックアクションを利用して、量子ドット内の励起状態を調べることができることを明らかにし、当初計画では予想していなかった新たな手法・知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画に沿って、高周波測定系の構築や測定を進めていく。
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Causes of Carryover |
新構造量子ドットを評価する実験の過程で、バックアクションを利用することにより、量子ドットの励起状態について調べられることがわかった。この手法により励起状態を評価することは、本研究の当初の目的にも合致し必要であったので、研究方式・計画を見直し、高周波測定系の構築を次年度に変更した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
高周波発生器、サンプルホルダー、ケーブルなど、高周波測定系の構築に使用する。
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Research Products
(12 results)