2014 Fiscal Year Annual Research Report
超広帯域電磁波による超分解能誘電体内部イメージング法の研究
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26709030
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
木寺 正平 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (00549701)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | UWBレーダ / 誘電体内部画像化 / 非破壊計測 / 非侵襲生体計測 / レーダ信号処理 / 逆散乱問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,超広帯域(UWB:Ultra Wideband)レーダのための,超波長分解能・精度を実現する誘電体内部画像化を実現することである.マイクロ波帯UWBレーダは誘電体内部透過性に優れるとともに,高い測距性能(数cm級)を有するため,CTやMRI等の既存技術にはない革新的機能(対象の電磁気的特徴の抽出)を有する非侵襲・非破壊計測技術として有望とされる.本研究では,申請者が独自に考案した画像化法(RPM法及び多重散乱波画像化)と偏波,散乱周波数特性等の複数の特徴量を融合し,領域積分方程式等の逆問題解析を併用することで,従来の「分解能」・「精度」を凌駕する次世代内部レーダセンサ技術を創出する. 本年度では,不均質誘電媒質推定及び内部反射波を用いた誘電率推定法について検討した.特に独自の境界抽出法であるRPM法を誘電層境界推定に適用し,かつ同時に推定される同境界上の法線ベクトルを用いて,幾何光学近似を用いて内部伝搬経路及び遅延を推定し,各種の誘電率分布モデルのパラメータを最適化することで,連続及び不連続な誘電率分布を有する誘電体目標の誘電率推定を従来と比べて高速かつ高精度に推定することが可能となったことを数値計算及び実験により示した.更に内部反射波のみを用いて誘電体内の埋設物とその周囲の誘電率を同時に推定する手法を検討し,おパラメトリックな手法ではあるが,それが同時に推定可能であることを数値計算により実証した.今後は,偏波や周波数特性を利用した内部目標認識に関する,高次推定法を検討し,数値計算及び実験の両面から解析及び改良を加えていく.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
UWBレーダによる誘電体内部画像化法の研究において,外部誘電体境界を独自のレーダ画像化法(RPM法)で高速かつ高精度に推定する手法を導入し,各種の誘電率分布モデルにおいて,再現精度及び推定時間を大幅に改善させることを数値計算及び実験にて示しており、当初の研究目的を達成するために極めて順調に成果を上げていると考える.また内部反射波のみを用い誘電率推定は,他の同分野の研究者が割けてきた難しい問題設定であるが,RPM法による高精度内部境界推定及びパラメトリックなアプローチにより,その解決の糸口が見えてきたのは,特筆すべき成果である.また論文投稿・学会発表等の積極的に実施しており,共同研究等の問い合わせも増えてきていることから,学術的・社会的に有用な研究であることが認知されてきている.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度では,特に非破壊検査を想定したコンクリート内部の空洞の形状推定に関する再現精度を改善する.既に誘電率と内部形状の同時推定手法を提案しているが、内部空洞モデルにおいては,内部で生じる多重散乱波やクリーピング波が推定問題を困難にすることが実験等を通してわかっている.これに対し,多重散乱波及びクリーピング波を抑圧もしくは積極的にイメージングに利用することで精度改善を図る.また,多層構造モデルにおいては層数が未知の場合では,その層数推定が重要になり,その推定法も検討する.また生体計測を想定し,主に人体モデルを導入した数値電磁界解析により,人体におけるマイクロ波の反射・透過特性を解析し,また偏波や周波数特性等の特徴量を用いて,イメージング及び目標認識等に有用な情報の特定及びそれを用いたイメージング法等について検討を進める.また評価においては数値計算及び実験を用いてその特性を評価する予定である.
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Causes of Carryover |
当初の予定では,超広帯域アンプを200万円として計上していたが,それが想定以上に廉価に入手できるようになった.また電磁界解析ソフトも同様に廉価に入手できるようになった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
基本的に必要な物品は導入済みであるため,研究計画に大きな変更は無い.
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Research Products
(5 results)