2016 Fiscal Year Annual Research Report
遡上帯-砕波帯-沖浜帯における底質の鉛直再配分および岸沖移動動態メカニズムの解明
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26709034
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
鈴木 崇之 横浜国立大学, 都市イノベーション研究院, 准教授 (90397084)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 底質移動動態 / 堆積性波浪 / バー地形 / 蛍光砂 / コアサンプリング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,遡上域から沖浜帯までを研究対象領域とし,現地観測結果に基づいた,プロセスベースの鉛直混合メカニズムの解明と検証,および前浜に形成されるバームからバー沖側端までの底質移動の動態解明を行うことを目的とする. 研究3年目の平成28年度は,平成27年度までに確立した底質の鉛直・岸沖動態に関する現地観測方法(コアサンプリング,波浪観測,地形形状観測等)を概ね踏襲した現地調査を実施した.ただし,観測時期をこれまでの高波浪時ではなく,堆積性波浪時の5月に実施した.観測時,アウターバーが形成されていた.蛍光砂は初年度と同様に5色を用い,岸沖方向概ね50mごとに海底面に投入した.蛍光砂の投入12日目,および20日目に,岸沖方向計9箇所においてコアサンプリング,および表層底質採取を実施した.採取したコアについては,X線CT撮影,スキャナー撮影に加え,深度毎の蛍光砂採取,粒度分析を行った. 砕波帯内の底質は,砕波による移流拡散により広範囲にまで移動していたが,インナーバーの発達においては,主に砕波帯内の底質により形成されていることがわかった.沖側への拡散はトラフ部沖側端(アウターバー岸側)が端部となっており,それよりも沖側へはほとんど移動していなかった.アウターバーより沖側に投入した蛍光砂は掃流漂砂により徐々に岸向きに移動し,アウターバーの形成に寄与していたが,この位置よりも岸側ではほとんど取得されなかった.また,静穏時の波浪場においても沿岸流速に伴う漂砂の影響は無視できないことが示唆された. 加えて,現地での現象をより詳細に把握するため,室内実験による蛍光砂を用いた移動床実験を行うと共に,数値モデルXBeachを用いて底質の岸沖・鉛直混合の詳細解明も合わせて実施した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は,これまでと同様に波崎海岸における底質移動調査を実施したが,時期を5月とし,堆積性波浪時における底質動態把握を行った.これまでの侵食性波浪時とは異なる移動動態を観測でき,貴重な現地データを取得することができた.また,採取した底質コアについての分析も順調に実施することができ,堆積性波浪時における底質の岸沖,鉛直移動について把握,解析することができた.これまで平成27年度までに実施してきた高波浪時の動態と比較することによっても成果を出せる状況となった. 研究計画通りおおむね順調に活動が行えており,研究成果も出ており,投稿済み,さらに投稿予定の論文も複数あるため表記の達成度とした.
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Strategy for Future Research Activity |
研究当初の2年間は高波浪の海岸侵食時の計測を実施し,平成28年度は堆積性波浪時における観測を実施した.平成29年度に関しては,平成28年度と同様に堆積性波浪となる5月初旬から6月中旬にかけて現地観測を実施する予定である.観測場所はこれまでと同様に波崎海岸とし,底質移動の岸沖方向移動動態,および鉛直混合動態に着目した,時空間動態現地観測(モニタリング)を実施する.ただし,これまでトラフ部に投入した蛍光砂がほとんど採取できていないことから,蛍光砂投入直後から約2日間,高頻度のトラフ部沿岸方向の表層底質サンプリングを実施し,沿岸流の影響について検討を行う.また,現在,波崎海岸ではバーが存在していない地形となっており,これは昨年度のバー地形と異なる地形形状であり,この場合での底質動態の把握が期待できる. 今年度の観測により,堆積性波浪時におけるバー地形が及ぼす底質移動への影響を把握することができる.また,研究当初2年間に蓄積した侵食性波浪との比較が行えると共に,堆積性波浪時の底質の岸沖・鉛直動態の検討を実施することができる.今後は,これらの成果を投稿する予定である. また,今年度を含めた4年間に得られた現地データ,および解析結果を用い,遡上帯-砕波帯-沖浜帯における底質の鉛直再配分および岸沖移動動態メカニズムの解明を進める.また,これら取得されたデータを基に,特に遡上域における地形変化モデルの開発,改良も合わせて進めていく.
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Causes of Carryover |
10,631円差額が生じたが,ほぼ予定通りの観測,解析が達成できた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度も観測を予定しており,残額が発生しないよう管理を行う.
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Research Products
(4 results)