2016 Fiscal Year Annual Research Report
砂礫浜海岸の減災・保全対策を検討するための新たな数値波動水路の提案と現地への適用
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26709035
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Research Institution | Gifu National College of Technology |
Principal Investigator |
菊 雅美 岐阜工業高等専門学校, その他部局等, 助教 (50714127)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 海岸工学 / 減災 / 保全 / 礫浜海岸 / 数値計算 / 水理模型実験 / 現地観測 / UAV |
Outline of Annual Research Achievements |
風外力と移動物体計算手法を導入した3次元数値波動水槽CADMAS-SURF/3Dの開発:送風装置付き断面水路によって波のみ,風のみ,波と風をそれぞれ作用させた水理模型実験の再現計算から,CS/3Dに導入した風外力の妥当性を検証した.その結果,導入した数値計算手法によって,風作用下の水面変動量を概ね再現できることを明らかにした.また,風外力と移動物体解析手法が導入されたCS/3Dを用いて,海域を漂流する物体の挙動に及ぼす風外力の影響について検討した.その結果,海域を浮遊する物体の漂流挙動を検討する際には,波のみならず,風の作用も考慮することが必要であることを明らかにし,その検討に,本研究にて提案したCS/3Dが有用であることを示した.
直立護岸の無次元越波流量に及ぼす風の影響評価:送風装置付き断面水路を用いた水理模型実験と風外力が導入されたCS/3Dによる数値計算の両面から,直立護岸の無次元越波流量に及ぼす風の影響について検討した.その結果,無風時の無次元越波流量が小さいほど風の影響を大きく受け,無次元越波流量が0.001以下のときにその影響が特に大きくなると考えられることを示した.
礫浜海岸の変動評価:画像解析ソフトBASEGRAINを用いてUAVにより撮影した七里御浜海岸の空撮画像から礫の粒径を算出し,ふるい分け試験との比較からその精度を検証するとともに,SfMによって作成したオルソモザイク画像から礫粒径を算定し,中央粒径の時空間分布の特性について考究した.その結果,BASEGRAINによる画像解析結果をふるい分け試験と同等に得るには撮影高度を対地高度7m程度とする必要があること,礫粒径の空間分布は場所により特性があることを明らかにした.UAVによる空撮画像を用いることで,広範囲における礫粒径の時空間分布を把握できることから,現地海岸の漂砂特性の解明に有用であることを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者の異動により,当初平成26年度に導入する予定であった実験装置の導入が編成27年度後半となり,平成27年度は本格的な実験を実施できなかった. 平成27年度に予定していた実験を平成28年度に実施するなど,当初の計画からは遅れているものの,研究は遂行できている.
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間を1年継続し,当初平成28年度に予定していた研究を平成29年度に行う. 直立護岸の無次元越波流量に及ぼす風の影響について,昨年度の研究結果を踏まえ,実験条件を増やして実験を行うとともに,風外力を導入したCS/3Dを用いて,風が及ぼす無次元越波量への影響を定量的に評価する. 現地礫浜海岸の侵食対策の効果について,水理模型実験,現地観測,数値計算の多方面から検討する.礫浜上に設置された消波ブロックの機能性については水理模型実験により評価する.斜面上に礫のみと礫上に消波ブロックを置いた状態のそれぞれで波を作用させ,浜の地形変化を観測し,消波ブロックの効果,沈下量,侵食対策として有効となる配置を考究する.現地観測により,養浜の効果を評価する.高波浪来襲前後においてUAVにより撮影された画像から3次元モデルを構築し,浜の侵食・堆積を量的に算出し,現在行われている養浜が浜の侵食対策として有用か検証する.波浪解析モデルNOWT-PARIを用いた数値計算により,七里御浜沖合に設置されている人工リーフの有無,さらに人工リーフ開口部を変化させた計算から,人工リーフ背後の波浪状況の違いを明らかにし,人工リーフの有効性について検討する.
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Causes of Carryover |
水理模型実験の実施が1年遅れているため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
水理模型実験の模型製作費に使用する.
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Remarks |
研究成果の一部が平成28年度土木学会中部支部優秀研究発表賞を受賞.
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