2014 Fiscal Year Annual Research Report
都市空間の微気象予測と分散センシングを融合した大気環境解析システムの開発
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26709041
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菊本 英紀 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (80708082)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 建築環境・設備 / 自然現象観測・予測 / 大気現象 / 流体工学 / シミュレーション工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、計算流体力学に基づいた微気象予測と急速に普及が進む都市内に散在するセンシング機器データを活用し、都市空間内の大気環境を高精度かつ即時的に解析するシステムの構築を行うものである。データ同化手法に基づき、数値予測におけるモデル化の限界および入力値の不確かさと実環境計測における計測点や時間の離散性を相互に補うことで、都市屋外の温熱・空気環境の精緻な解析モデルを開発する。特に、本年度はドップラーライダーシステムを用いて都市境界層の風速プロファイルを測定し、その統計的性質を明らかにした。その結果、特に低風速においては従来の風速プロファイルモデルの妥当性が保証されず、都市内気流解析の誤差要因となりうることを確認した。現在、我々は極めて不均一な地表面粗度をもつ都市上空の大気境界層内において発生する熱や大気汚染といった問題に直面しており、これらは弱風で温度成層の影響が無視しえない状況で問題が深刻化する。つまり、従来のプロファイルの前提条件から逸脱した状況を解析しなくてはならない。本観測により、低風速時の風速プロファイルのモデル化は難しく、数値解析においては実計測プロファイルを上空境界として解析を実施する必要が明らかとなった。またその他本年度には、都市キャノピー内における空気質の実環境の計測や、乱流解析モデルLarge-eddy simulationの風洞実験との比較による精度評価を行い、基礎的な知見を収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
観測や実験、数値解析によって計画している基礎データの収集を進めている。また、これらの諸要素を活用した微気象解析モデルの開発にも着手している。
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Strategy for Future Research Activity |
ドップラーライダーによる上空風観測値を境界条件として都市内気流場を数値的に予測するような観測と数値予測の融合解析手法の開発を進める。また、ドップラーライダー以外にも数値予測へのインプット情報を質・量ともに向上させるため温湿度などの都市温熱環境と主要な大気汚染物質の濃度など都市空気環境の移動センシングシステムを開発する。
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Causes of Carryover |
微気象解析システムのサーバ構築と実際の都市空間を対象とした解析を予定していたが、本年度は観測データの解析と都市モデルを対象とした解析とその精度評価に取り組んだためサーバの必要要件の決定や都市の3次元地図データの購入にまで至らなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度に上記のサーバの構築と地図データを利用した都市大気環境の解析システムを開発する予定である。
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Research Products
(3 results)