2015 Fiscal Year Annual Research Report
革新的熱電発電技術応用のための異常ネルンスト効果の研究
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26709045
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
桜庭 裕弥 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 磁性材料ユニット, 主任研究員 (10451618)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 熱電発電 / スピントロニクス / ネルンスト効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では熱電技術として実用レベルの異常ネルンスト効果実現のために、ネルンスト係数の大きな材料探索を行うだけではなく、材料探索の指針を確立することを目指す。大きな異常ホール効果と異常ネルンスト効果を示すことが期待されるとともに、電子構造とネルンスト効果のとの相関が議論しやすい材料系としてCo基ホイスラー合金材料に注目し、薄膜試料の作製と構造解析、異方性磁気抵抗効果、異常ホール効果、異常ネルンスト効果の評価を行った。その結果、フェルミ準位を制御することにより、従来よりも一桁大きなネルンスト効果を実現することに成功した。その電子構造と第一原理計算による異常ホール伝導度と実験結果を比較した結果、ゼーベック電流に対する異常ホール効果と熱電気テンソルの非対角項による寄与が重畳することが、重要であることが分かった。また導入した赤外線サーモカメラにより温度勾配の精密な評価手法を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画通り、また赤外線カメラの導入により厳密な温度勾配の評価手法を確立させた。ホイスラー合金系材料において従来の一桁の熱電能改善に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
ホイスラー合金系材料を主体とし、様々な電子構造を有する材料系の構造、規則状態、異常ホール効果、異常ネルンスト効果を系統的に評価し、より大きな熱電能の実現を試みるとともに、熱電能改善のための指針の確立をめざす。Fe2VAl系などゼーベック効果の大きな非磁性熱電材料に注目し、組成調整による強磁性化を試み異常ネルンスト効果を評価する。
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Causes of Carryover |
実験の計画の都合により薄膜成長用のMgO基板、スパッタターゲット材料の消耗品の購入を遅らせたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H28年度初旬にMgO基板並びにスパッタターゲットを購入することにより、当初予定通りの研究が遂行可能である。
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Research Products
(2 results)