2014 Fiscal Year Annual Research Report
析出物を用いた易加工性組織形成と高強度化による革新的マグネシウム合金圧延材の開発
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26709055
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
佐々木 泰祐 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 研究員 (30615993)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | マグネシウム合金 / マイクロアロイング / 析出物 / 再結晶 / 集合組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、第2相粒子を分散させた合金や、微量元素を添加した合金をモデル合金として用い、変形中の動的再結晶挙動や、集合組織形成との関連を調査し、優れた加工性を有する圧延材として有望であるランダム配向した等軸粒組織を形成する合金組成と加工条件を提案することを目的とした。 まず、希土類金属の微量添加の集合組織への影響について調査した。Mg-0.01at.%Gd合金とMg-0.06Gd合金を作成し、押出加工を行い、集合組織を解析した所、Mg-0.06Gd合金は、Mg-0.01Gd合金に比べて結晶の配向がランダム化されていた。透過型電子顕微鏡を用いて組織を観察した所、結晶の配向がランダム化されていたMg-0.06Gd合金の結晶粒界にはGdが偏析していることが確認され、また、粒内ではGdがクラスターを形成していた。一方で、Mg-0.01Gd合金では、結晶粒界への合金元素の顕著な偏析が観察されなかったことから、希土類金属であるGdの結晶粒界への偏析が集合組織形成に決定的な影響を及ぼしていることが示唆された。 次に、Mg-Zn合金において、Zrが加工中の組織形成に及ぼす影響を検討した。Zrを含まないMg-Zn合金では、加工初期に加工前組織の結晶粒界上に再結晶粒が形成し、加工度が大きくなると再結晶領域が粒内に広がり、最終的に完全再結晶組織が形成される。一方、Zrを添加すると、加工前の組織が微細化される。その結果、加工初期には、Mg-Zn合金に比べて高密度の再結晶粒が、粒界上に形成されるが、Mg(Zn,Zr)相が再結晶粒の成長を抑制するので、Mg-Zn合金に比べて微細な再結晶組織が形成される。このことから、熱的に安定なナノスケールの第2相粒子の分散の制御が結晶粒サイズの制御を行う上で重要であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
集合組織、結晶粒サイズの制御を行う平成26年度は、優れた加工性を有する圧延材として有望であるランダム配向した等軸粒組織を形成する合金組成と加工条件を提案することを目標としたが、加工後の結晶粒のランダム配向化に効果的な合金元素や結晶粒サイズの制御方法に関する知見を得ることができている。 よって、おおぬね順調に研究は進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、当初の計画通り、ランダム配向した等軸結晶粒により構成される組織の形成が可能な圧延工程を設計することを第一の目的とする。 まず、平成26年度の研究成果をもとにターゲットとする合金種を決定し、大型の鋳塊を溶製し、圧延材を作製する。圧延材を作製する際は、SEM やEBSD 観察により組織形成過程を明らかにしつつ、微細かつランダム配向した再結晶粒により構成される組織が効率的に形成可能な圧延プロセスを設計する。 加工性の評価は、溶体化処理後の圧延材に対して行う。溶体化処理条件を変化させ、結晶粒径の異なる試料を用意し、まずは成形加工の可能性を簡易評価する。成形加工の困難さは、力学特性の異方性にも依存する。そこで、圧延方向に対して、平行、垂直、45°傾けた方位から引張試験を行う。また、実際の室温加工性をエリクセン試験により評価し、エリクセン値と組織、力学特性の関係を明らかにしながら、優れた加工性を有する組織設計の指針を導出する。
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Research Products
(5 results)